院長コラム

赤ちゃんの「おへその膨らみ(臍ヘルニア)」について

先日、国立生育医療研究センターの小児外科の先生による講演会に出席しました。
主に、小児科の開業医の先生方が外来で出会う小児外科疾患についてのお話でしたが、新生児をお預かりしている我々にとっても大変勉強になりました。
今回は、1ヶ月健診で特にお目にかかる、「臍ヘルニア」について情報を共有したいと思います。

 

 

臍ヘルニアとは

通常、臍帯が脱落した後、欠損した部分が様々な過程を経て筋膜で覆われ、穴が閉鎖していきます。

ところが、何らかの原因で筋膜が部分的に欠損し、腹圧がかかった時にその欠損した穴(“おへその穴”)から腸管などが脱出し、皮下に膨隆することがあります。

これを臍ヘルニアといい、泣いたり、力んだときに著明となり、ゴルフボール大になることもあります。

 

 

臍ヘルニアの予後は

ほとんどは生後2週間で“おへその穴”は閉鎖します。中には1ヶ月前後から膨隆が目立ってくることもありますが、その多くも1歳までに自然に軽快します。

また、腸管が“おへその穴”から出た後、戻らなくなり、腸管が壊死するということはほとんどありません。

 

 

対処・治療法

臍ヘルニアは、原則として経過観察のみで問題ありませんが、もし1~2年しても治癒しなかった場合は根治術をする場合があります。

また、無処置で自然治癒した場合、余剰皮膚によって外観がよくないことがあります。その場合は就学前の時期に形成外科的に処置を行うこともできます。

尚、スポンジや綿球で臍部を圧迫する処置を行う施設もあるようですが、今回の講師の先生のお話では、効果も不明で、テープかぶれの可能性もあり、処置に手間もかかるため、あまりお勧めはしないとのことでした。

 

 

臍ヘルニアの大きさによっては驚かれるお母さん方もいらっしゃると思いますが、生後1年までは心配いりません。
もし、1歳になっても軽快しないようであれば、かかりつけの小児科の先生にご相談下さい。