院長コラム
お産後に“不安感”“気分の落ち込み”はありませんか?
最近、分娩後2週間あたりに抑うつ傾向を認める褥婦さんが多いことがわかり、“分娩後2週間健診”が一般的になっております。
今回は、われわれが臨床で使用しています、お産後の不安感や抑うつに関する質問票についてお話します。
エジンバラ産後うつ病質問票について
産後うつ病をスクリーニングする目的で開発された質問票で、妊娠中および出産から1年未満の女性を対象としています。
気分に関する10個の質問があり、それぞれの程度や頻度について、被験者には4択で答えて頂き、カウンセリングや治療の参考にします。
10個の質問は、「快感喪失因子」「不安因子」「抑うつ因子」「自傷因子」から構成されていますが、今回は「不安因子」「抑うつ因子」についてご紹介します。
《不安因子の質問》
○ はっきりとした理由もないのに不安になったり、心配したりした。
○ はっきりとした理由もないのに恐怖に襲われた。
○ することがたくさんあって大変だった。
《抑うつ因子》
○ 不幸せの気分なので、眠りにくかった。
○ 悲しくなったり、惨めになったりした。
○ 不幸せ気分だったので、泣けてきた。
これらの質問に対して、「ほとんどそうだった」「時々そうだった」「ほとんどそうではなかった」「全くなかった」などの4つの選択枝から選び、評価します。
2項目質問票について
エジンバラ産後うつ病質問票で、不安因子や抑うつ因子が強い方には、さらに2項目質問票で確認する場合があります。
《不安障害を評価する2項目質問票》
○過去1か月の間に、ほとんど毎日緊張感、不安感また神経過敏を感じることがありましたか?
○過去1か月の間に、ほとんど毎日心配することを止められない、または心配をコントロールできないようなことがありましたか?
《うつ病に関する2項目質問票》
○過去1か月の間に、気分が落ち込んだり、元気がなくなる、あるいは絶望的になって、しばしば悩まれたことがありますか?
○過去1か月の間に、物事をすることに興味あるいは楽しみをほとんどなくして、しばしば悩まれたことがありますか?
「不安障害」「うつ病」それぞれ2項目の質問のうち、1つでも該当すればメンタルクリニックへの紹介を検討します。
自分の精神状態は、案外自分ではわからないもの。質問に答えることで、より客観的に自分自身を捕らえることができることができるかもしれません。
その中で、もし気になる事があれば、精神科医や産婦人科、区役所などの行政の窓口にご相談下さい。