院長コラム

いよいよ東京都で2019年4月1日から新生児聴力検査の一部助成が開始!

東京都では2019年4月1日以降に生まれた赤ちゃんから、新生児聴力検査の費用の一部が助成されます。
今回は、新生児聴力検査の概要と世田谷区における助成について説明します。

 

 

新生児聴力検査の必要性

新生児聴力検査とは、生まれて数日の赤ちゃんに対して、聴力障害の可能性の有無を調べる検査です。先天性難聴の赤ちゃんは1,000人に1~2人といわれており、もし聴力障害に対して適切な時期に、適切な療育を受けていなかった場合には、言語発達が阻害されます。その結果、認知、社会性、行動、注意力、学習能力などの発達障害をきたすと言われています。

一方、生後6ヶ月までに適切な療育を開始した場合には、その後の言語能力は改善し、良好なコミュニケーション能力の獲得が期待できます。

つまり、先天性難聴の赤ちゃんに早期に適切な養育介入を行うためには、早めに聴力スクリーニング検査を行って、聴力障害疑いの赤ちゃんを早期に発見することが大切です。

 

 

世田谷区の助成を利用するためには

新生児聴力検査受診票を利用することにより“3,000円”が助成されます。当院の新生児聴力検査費用は自費で7,500円に設定しておりますので、新生児聴力検査受診票があると4,500円のお支払いになります。

2019年4月以降に妊娠届出をされる方は、届出の際に新生児聴力検査受診票が渡されます。ご入院の際にご持参下さい。

一方、2019年3月までに妊娠届出をされた方は、世田谷区から新生児聴力検査受診票が送られてくることになっていますので、ご入院の際にご持参下さい。もし、ご入院までに送られてこない場合は、分娩後に世田谷区役所へご相談下さい。

尚、世田谷区以外にお住まいの方は、その地区の母子保健担当へお問い合わせ下さい。

 

 

当院での新生児聴力検査の流れ

当院では分娩後に新生児聴力スクリーニング検査の有用性について説明し、検査に同意された方に対して検査を行っています。

出生3日目前後に聴性脳幹反応(ABR法)というスクリーニング検査を採用しております。ABR法は睡眠の深さや意識レベルの影響を受けず安定性、再現性に優れているといわれています。

ABR法で2回以上「要再検」と判定された場合は、国立成育医療研究センターや東京医療センターの耳鼻咽喉科へ精査目的でご紹介しております。

 

 

わが国での新生児聴力検査は、現在任意の検査となっています。しかし、赤ちゃんの将来を考えれば、全員が検査すべきであると考えています。
この度の行政からの助成により、ある程度の金銭的なご負担も軽減されたのでは、と思います。
もし聴力検査を受けない理由が、宗教的・信条的なものでないのであれば、是非検査を受けて頂きます様、何卒宜しくお願い申し上げます。