院長コラム

産婦人科領域の予防接種に関するQ&A

思春期から性成熟期、妊娠期にかけて、産婦人科領域で摂取が必要なワクチンは少なくありません。
今回は、2018年に発行された「予防接種に関するQ&A集」(日本ワクチン産業協会)を参考に、産婦人科領域の予防接種に関する情報を共有したいと思います。

 

 

Q1. 異なるワクチンを接種する場合の接種間隔は?

A. 生ワクチン接種の後は中27日以上、不活化ワクチン接種の後は中6日以上あけましょう。

ちなみに、中27日あけるとは「4週間後の同じ曜日の接種は可能」ということであり、中6日あけるとは「1週間後の同じ曜日の接種は可能」ということです。

具体的には、生ワクチン(麻疹・風疹・MRワクチン、水痘ワクチンなど)の接種後、4週間の同じ曜日以降でないと、他の生ワクチンや不活化ワクチン(インフルエンザワクチン、ヒトパピローマウイルス《HPV》ワクチンなど)を接種することができません。

反対に、不活化ワクチン(インフルエンザワクチン、ヒトパピローマウイルス《HPV》ワクチンなど)の接種後は、1週間後の同じ曜日以降であれば、他の不活化ワクチンや生ワクチン(麻疹・風疹・MRワクチン、水痘ワクチンなど)を接種することができます。

 

 

Q2. 同じワクチン(HPVワクチン)の接種間隔は?

A.  2種類のHPVワクチンで間隔が異なります。

二価ワクチンである「サーバリックス」は初回、2回目:約 1か月、3回目:1回目から約6か月後の合計3回になります。

四価ワクチンである「ガーダシル」は初回、2回目:約 2か月、3回目:1回目から約6か月後の合計3回になります。

尚、3回の接種とも必ず同じワクチンを接種して下さい。「サーバリックス」と「ガーダシル」を交互に接種することは避けましょう。

 

 

Q3. 妊娠を希望している女性の生ワクチン接種の注意点は?

A. 生ワクチンは胎児への影響を考慮し、全妊娠期間を通じて、原則として接種はできません。風疹ワクチン、麻疹ワクチン、MRワクチン、水痘ワクチン、おたふくかぜワクチンを女性に接種する場合、妊娠していないことを確認し、接種後は2か月避妊するようにして下さい。

尚、不活化ワクチンは胎児へ影響することはありませんので、インフルエンザワクチンは妊娠期間のどの時期でも接種可能です。ただし、HPVワクチンの場合、1回目または2回目の接種後に妊娠が判明した場合、分娩後に残りを接種することが一般的です。

 

 

Q4, 授乳中のワクチンについての注意は?

A. 妊娠中と異なり、生ワクチンも不活化ワクチンも授乳婦さんに接種することが可能です。むしろ、麻疹抗体がない方、風疹抗体価は低い方は、出産後の入院中や一か月健診時にMRワクチンを接種することが推奨されています。

 

 

Q5. HPVワクチン接種による副反応の頻度と症状は?

A. 副反応の未回復の割合は、全接種人数の0.005%、症状は頭痛・倦怠感・関節痛・接種部位以外の疼痛・筋肉痛・筋力低下です。

ただし、HPVワクチンを接種していないにもかかわらず、副反応と同じ症状をきたす方々が同様の割合で存在することから、HPVワクチン接種と副反応との因果関係は不明です。

 

 

Q6. HPVワクチンの効果と子宮頚がん検査の必要性は?

A. HPVワクチンは16型と18型という発がん性が高いHPVの感染を予防しますが、それ以外の型に対してもある程度効果があります。そのため、HPVワクチンを接種することにより、中等度異形成以上の病変を約70%も抑えることができるといわれています。

ただし、残念ながら100%予防することはできないため、HPVワクチンをしっかり3回接種した方でも、20歳以上になりましたら子宮頚がん検査を受けて頂く必要があります。

 

 

産婦人科領域における予防接種についての情報を、今後もわかりやすくお伝えしていきたいと思います。
引き続き、宜しくお願い申し上げます。