婦人科疾患

婦人科腫瘍

子宮筋腫

子宮筋腫は子宮筋の良性の「こぶ」で、30歳以上の20~30%に認められます。エストロゲンという女性ホルモンの影響で増大するため、閉経前では増大し、発生場所によっては過多月経や下腹部痛などの症状をきたしたり、不妊症の原因になる場合もあります。無症状で比較的小さい場合は、内診と超音波検査、場合によりMRI検査による定期健診で経過観察いたします。ただし、貧血を来たすほどの過多月経や周辺臓器の圧迫が増強した場合には、積極的に治療を検討します。当院では、女性ホルモンを抑えて、一時的に閉経にする偽閉経療法(月1回の皮下注または連日の点鼻薬使用を6ヵ月間)を行っています。

尚、一般に閉経後には子宮筋腫は縮小しますが、まれに増大することがあり、その場合肉腫という悪性の可能性があるため、閉経後であっても定期健診は必要です。

 

子宮内膜症・子宮腺筋症

子宮内膜の組織が子宮内腔以外の場所で発生し、増殖するものを子宮内膜症といい、特に子宮筋層で発生・増殖するものを子宮腺筋症といいます。卵巣に発生・増殖したものは卵巣子宮内膜症嚢胞(チョコレート嚢胞)といわれ、ほとんどが良性ですが、稀に癌化する場合もありますので、内診、超音波検査、腫瘍マーカー(CA125)検査、場合によりMRI検査による定期健診は必要です。

自覚症状として月経痛、性交痛、排便痛をきたすだけでなく、不妊の原因になる可能性もあるため、当院ではなるべく初期段階から治療を進めております。エストロゲンにより症状が増強するため、エストロゲンを抑え、子宮内膜組織の増殖を抑制することが治療の目的となります。チョコレート嚢胞があまり大きくない場合には、低用量ピルから治療することが一般的です。また、妊娠の希望がない場合やチョコレート嚢胞が比較的大きい場合には、偽閉経療法を6か月行い、その後ディナゲスト(黄体ホルモン製剤の内服薬)を用いることもあります。

 

卵巣腫瘍

卵巣腫瘍は、良性、境界型、悪性に分類され、当院で定期健診ができるのは良性のみになります。超音波検査、MRI検査、各種腫瘍マーカー検査により定期的に検診を行い、悪性の可能性がある場合や良性でも茎捻転という手術が必要な場合には、適切な高次施設へ紹介致します。一方、他施設で経過観察をしている方や術後の方は、場合により当院でも経過観察させていただきます。

 

子宮頸部細胞異常

ハイリスク(発癌性の高い)ヒトパピローマウイルス(HPV)に感染すると、子宮頸部の細胞異常を来たし、軽度異型上皮、中等度異型上皮、高度異型上皮、上皮内がん、浸潤がんへと発展する場合があります。当院では、子宮頸部細胞診・組織診、コルポスコピー、HPV検査などに対応しており、他の高次施設と緊密に連携しております。

 

子宮内膜腫瘍

子宮内膜の腫瘍には、子宮内膜増殖症、子宮内膜異型増殖症、子宮内膜ポリープ、子宮内膜がんがあり、当院では、超音波検査、子宮内膜細胞診・組織診にて診断しています。当院での治療は、良性である子宮内膜増殖症に対して黄体ホルモン製剤(プロベラ10~20mg)14日間投与、14日間休薬を1周期として3~6か月間行います。また、過多月経の方には、黄体ホルモン放出型子宮内避妊システム(ミレーナ)も検討します。

子宮内膜異型増殖症、子宮内膜ポリープ、子宮内膜がんにより他施設で手術をされた方に対しても、当院では術後の経過観察を積極的に受け入れております。