院長コラム

避妊についての“都市伝説”

現代では、避妊についての様々な情報がSNSなどで飛び交っていますが、必ずしも全てが正確であるとは言えません。
今回、特に思春期の方々が知りたいと思われる“都市伝説”の真偽について、「学校医と養護教諭のための思春期婦人科相談マニュアル」(日本産婦人科医会)を参考に情報提供致します。

Q1 生理中にセックスしても妊娠しないの?

A1.妊娠しないとは言えません。
月経と思われる出血が本当の月経である場合であったとしても、特に月経5日目以降に性交した場合は、妊娠しないとは言えません。月経周期が短い方であれば月経10日目頃に排卵することがありますし、精子の受精能力が7日間継続することもあり得るからです。
また、月経と思われた出血が、実は排卵期出血であった、というケースも考えられます。そうすると、むしろ妊娠の可能性が高くなってしまいます。

Q2.セックスの後、コーラや炭酸ジュースで膣内を洗うと妊娠しないの?

A2.無意味どころか体に良くありません。
膣内に射精された多量の精子は、直ちに頸管粘液に包まれて、子宮頸管というトンネルに入っていきます。
性交後に清潔な水(ビデなど)で膣内を洗浄したとしても、頸管内に入っていった精子を洗い流すことはできません。炭酸水でも同様です。
むしろ、コーラや炭酸ジュースを膣内に入れる事は膣炎の原因になりますので、絶対にやめましょう。

Q3.膣外射精すれば妊娠は防げるの?

A3.膣外射精は避妊法ではない、とお考え下さい。
性的興奮が高まると、ペニスの尿道口から「クーパー腺液」が分泌されます。その分泌液にも精子が含まれている可能性があるため、この状態でコンドームを装着せずにペニスを膣内に挿入してしまうと、妊娠する危険性があります。
つまり、射精前にペニスを抜いてから、膣外での射精あるいはコンドーム装着しての再挿入は、確実な避妊にはなりません。

女性ができる避妊法は、禁忌でなければ低用量ピルの服用が有用です。
また、相手の
男性には、性感染症の予防効果も期待できるコンドームを確実に装着してもらいましょう。
もし、確実な避妊をせずに性交し、妊娠する可能性がある場合には、速やかに婦人科を受診し、性交後72時間以内(3日間以内)に緊急避妊薬(レボノルゲストレル錠など)を服用しましょう。