院長コラム

第10回玉川・世田谷区産婦人科医会合同学術講演会(医師・コメディカル対象)の報告

私が世話人をしています玉川産婦人科医会では、年に一回世田谷区内の産婦人科医、助産師、産婦人科勤務の看護師、栄養士などを対象に、産婦人科医療にまつわる講演会・研修会を開催しております。
最近2年間はコロナ禍のため開催を見送っていましたが、先日リモート配信という形で行うことができました。

 

「HPVワクチンの現況」 

講師を慶応義塾大学医学部産婦人科学教室 青木大輔先生にお願いし、ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンについて、幅広くご講演を頂きました。
今回は、玉川医師会所属の内科医、小児科医など、産婦人科医以外でHPVワクチンを接種する機会がある他科の先生方にもご視聴頂いていたこともあり、基本的で大変わかりやすいお話でした。
私自身、子宮頚がんの恐ろしさ、HPVの有効性、子宮頚がん検診の重要性について改めて認識を深めることができました。中でも、改めて皆様にお伝えしたい点をお示しします。

 

〇30代、40代の子宮頚がん(浸潤がん)が増加

加齢とともに罹患率が上昇する他の多くのがんと異なり、子宮頚がんは25歳頃から上皮内がん(0期のがん)が増え、30代~40代になると浸潤がん(Ⅰ期以上)が上昇します。まさに子宮頚がんは、妊娠・出産・子育て世代を直撃する恐ろしい病気と言えます。
さらに、手術療法などで治療したとしても、もし再発してしまった場合は治療が非常に困難となります。そのため、いかに子宮頚がんを予防できるかが、とても
に重要になります。

 

〇「HPVワクチン接種」と「子宮頸がん検診」は子宮頚がん予防の“車の両輪”

予防には、発がん性の高いHPVの感染を防ぐ一次予防と、子宮頚部の病変を早期に発見するための二次予防があります。
小学校6年生相当から高校1年生相当までのHPVワクチン定期接種と、25歳まで(キャッチアップ世代)の接種は一次予防に当たります。可能であれば、ワクチン接種の効果が高い16歳頃までの接種が望ましいですが、せめて25歳までに接種を終わらすようにしましょう。
また、HPVワクチンの定期接種により子宮頚がんリスクは約70%低下するといわれていますが、現時点では予防効果は接種後14年までしか確認されていません。
そのため、HPVワクチンを接種した方であっても、20歳以降は2年に一回、定期的に子宮頚がん検診を受けるようにしましょう。

 

今後も新型コロナウイルス感染に注意しながら、玉川産婦人科医会として講演会・研修会の開催を予定しています。
ご参加された先生方やコメディカルの方々が、そこでの学びを臨床の現場で活かして頂ければ、地域医療が更に充実するものと考えています。
当院としても、受診される方々のために、スタッフ一同、常に向上心をもって真摯に医療に取り組んで参ります。