院長コラム

女性の鉄欠乏性貧血の原因・症状

女性は男性に比べて貧血が多いと言われています。鉄欠乏性貧血になると、日常生活の質の低下はもちろん、妊婦さんの場合は赤ちゃんへの影響や産後のトラブルなど、多くの悪影響を招きます。
そこで今回は、女性の鉄欠乏性貧血の原因と症状について情報を共有したいと思います。

 

鉄欠乏となる原因

血液の成分で、体の隅々まで酸素を送り届ける「ヘモグロビン」の血中濃度が低下している状態を貧血といいます。
鉄はヘモグロビンを形成するのに必要不不可欠な物質であり、鉄が足りないことが原因の貧血を「鉄欠乏性貧血」といい、女性の貧血の多くを占めます。
鉄が欠乏する原因は、「鉄の摂取が少ない」「鉄の需要が増える」「鉄の排泄が多い」の3つが考えられます。
鉄の摂取が少なくなる要因として、食生活が乱れて鉄の摂取量が必要量を下回る事が挙げられます。
鉄の需要が増える場面としては、妊婦さん(胎児に鉄が移行するため)、授乳婦さん(鉄が母乳に移行するため)が挙げられます。
また、鉄の排泄が多くなる原因としては、思春期から閉経期までの女性の場合は過多月経が、褥婦さんの場合は分娩時の多量出血などが挙げられます。
過多月経の原因としては、子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜ポリープ、卵巣機能不全、甲状腺機能低下症、凝固異常などが考えられます。

 

鉄欠乏貧血の症状

貧血の代表的が症状として、頭痛・めまい・動悸・息切れ・疲労感などが挙げられます。また、他人から顔色が悪いことを指摘されたり、“アカンベェ”をした時に、目の内側(結膜)の赤みが薄いことに気付く事もあります。
鉄不足に伴う症状として、口の症状(舌がしみる感じ、のどの違和感、飲み込みにくいなど)、異食症(氷などをボリボリ食べたくなる)、爪の変形(反り返ってスプーン状に)、むずむず脚症候群(安静にしていると足のむずむず感、かゆみ、不快感などがみられる)、皮膚乾燥、毛髪のダメージなどが挙げられます。

 

鉄欠乏性貧血と診断された場合は、貧血自体の治療と、貧血の原因となっている状態・病気の対応・治療が必要になります。
当院では貧血の治療として、比較的消化器症状が少ない鉄の内服薬「リオナ錠」を第一選択としています。
貧血症状がみられた場合や、健康診断などで貧血を指摘された場合は、一度婦人科を受診されることをお勧めします。