院長コラム

日本のジェンダーギャップ指数が低迷

 

世界経済フォーラムが2023年度版の「ジェンダーギャップ・レポート」を発表しました。それによると、残念ながら日本のジェンダーギャップ指数は過去最低の125位で、特に「政治参加」と「経済」が低いようです。
様々な分野の識者の方々が専門的なコメントや提言をされていますが、私も産婦人科開業医として、女性の社会進出のためにできることを考えてみました。

 

思春期からの性教育の充実

ジェンダーギャップを少なくするためには、男女がお互いの心身について理解しあうことが大切と思います。
特に、男性が積極的に女性の性について正しい知識を学ぶことは重要であり、遅くても中学生頃から性教育を始めるのが望ましいと考えます。
東京都では2年ほど前から、公立中学校での産婦人科医による性教育授業が始まり、私もこれまでに数校担当致しました。今後更に思春期の性教育に携わっていければと思っています。

 

成人したらプレコンセプションケアを

プレコンセプションケアとは、将来の妊娠を考えながら女性・男性ともに自分たちの生活や健康に向き合う事を言います。
もちろん、将来妊娠を希望するかどうかは個人の価値観によりますが、妊娠が可能な年齢のすべての女性、そのような女性とカップルになる可能性があるすべての男性にとって、プレコンセプションケアについて考えることは、人生の幸せを考えることに繋がります。
昨年から、一部の都立高校で、産婦人科医によるプレコンセプションケアを含む「生涯健康授業」が始まりました。
可能であれば、大学・専門学校の学生さんや企業にお勤めの方々など、成人した男女に対しても「大人のための生涯健康授業」を行うことが望ましいと思います。
このような授業を受けることで、少なくとも「女性には様々な特有なトラブルがある」という事を男性も知ることができ、女性を理解する一助になると思われます。
一方、月経関連のトラブルのために学業や仕事のパフォーマンスが低下している女性は、その予防法、対策法を知って実行することで、人生の質が向上するのでは、と考えています。

 

40∼50代以上の男性の経営者・役員クラスの方々にも、女性の性に関する正しい知識を学んで頂きたいと考えています。
ジェンダーギャップを減らすためには、すべての世代の男女がお互い理解し、協力し合う事が必要不可欠であると思います。
私も産婦人科開業医として、日常診療や性教育などの活動を通して、今後も女性の人生をサポートして参りたいと考えています。