院長コラム

思春期女性が月経トラブルで婦人科を受診するタイミング

現代女性の場合、通常8歳頃からエストロゲンという女性ホルモンの分泌が増加し始め、10~14歳頃で初経を迎え、18歳頃にホルモン環境が安定すると言われています。
ただし、思春期はホルモン的に発達途上であり、個人差も大きく、月経トラブルに関して、どのタイミングで婦人科を受診すべきか、よくわからない方も多いのではないでしょうか。
今回は、続発性無月経、月経困難症、過多月経について、婦人科を受診する一つの目安をお伝えします。

続発性無月経の場合:2~3か月月経がない時(性交後無月経を除く)

これまで見られていた月経が3か月以上きていない場合を続発性無月経といいます。
施設によっては、2か月月経がなければ受診を勧める場合もあります。
当院では、2か月間月経がなければ基礎体温をつけ始めて頂き、その1か月後に受診した際、基礎体温の推移を確認し、治療方針を立てていきます、

月経困難症の場合:鎮痛剤服用でも改善していない時

思春期女性の月経痛は機能性月経困難症であることが多く、経血を排出するための子宮筋の収縮が強くなり過ぎる事が、原因と考えられています。
多くの鎮痛剤は、子宮筋を収縮させる「プロスタグランディン(PG)」という物質の合成を抑制することで、鎮痛効果を発揮します。
そのため、PGが合成される前、つまり月経が始まる前から鎮痛剤を服用することが効果的です。
それでも月経痛が強く、日常生活に支障をきたす場合には、婦人科を受診し、治療法の変更を検討した方がいいでしょう。

過多月経の場合:生理用品を1~2時間以内で取り替える必要がある時

通常、月経2-3日目の経血量が多い時でも、一日当たりの生理用品(ナプキン、タンポンなど)は3~6セットといわれています。
つまり、一日あたりの生理用品が7セット以上となり、1~2時間以内で取り替える必要がある時は、過多月経が疑われます。
その他、日中でも夜用ナプキンを常用しないといけない場合や、レバー様の血液が多量に出ることがあれば、婦人科にて精査した方がいいでしょう。

性交後の続発性無月経の場合、妊娠の可能性も否定できないため、性交(コンドームを使用していたとしても)の後、3週間たっても月経が来なければ婦人科を受診しましょう。
また、月経困難症と過多月経の両方を認めることがあります。
その場合は、現在の生活の質を改善し、将来の子宮内膜症を予防するため、早めに婦人科を受診して下さい。