院長コラム

妊婦さんのトキソプラズマ感染予防について

トキソプラズマはネコ科動物に住み着いている寄生虫で、哺乳動物や鳥類だけでなく人間にも感染します。
妊婦さんがトキソプラズマに初めて感染すると、胎児に感染する可能性があり、水頭症、頭蓋内石灰化、小頭症、腹水、胎児発育不全など、赤ちゃんの異常を引き起こす可能性があります。
今回、「産婦人科診療ガイドライン産科編2020」を参考に、妊婦さんのトキソプラズマ感染予防についてお伝えします。

 

食事からの感染予防

  • 肉食は十分に加熱してから食べましょう。調理前に数日間冷凍するとより予防効果が高いそうです。
  • 牛トロ、レバ刺し、馬刺し、鳥刺し、ユッケ、タルタルステーキなどの生肉、加熱不十分な肉は食べないようにしましょう。
  • 生ハム、生サラミからも感染することがありますので避けましょう。
  • 特に野生動物の肉を用いた「ジビエ料理」は、しっかりと加熱しましょう。
  • 野菜や果物はよく洗うか、きちんと皮をむいてから食べましょう。
  • 生肉や洗っていない野菜や果物を扱った調理・食事用具、手指は、十分な洗剤と温水で洗浄しましょう。
  • 猫をキッチンや食卓に近づけないようにしましょう。

 

環境からの感染予防

  • 飲料水以外は飲まないようにしましょう。
  • ガーデニングなどで土を触る際は手袋を着用し、土を触った後は手指を石鹸と温水で洗浄しましょう。
  • お子様にも手指洗浄の重要性を伝えましょう。
  • 妊娠中に新しい猫を飼うことはやめましょう。
  • 飼い猫はできるだけ部屋飼いにし、食餌はキャットフードを与えましょう。
  • 猫のトイレの砂は、妊婦以外の方が毎日交換するようにしましょう。

 

猫を飼ったことがある方は、妊娠前に血液検査でトキソプラズマ抗体の有無を調べてもいいでしょう。
妊娠後はガーデニングをやめ、公園の砂場などに近づかないことをお勧めします。
もし、妊娠中の初感染が疑われた場合、当院では近隣高次施設へ紹介し、スピラマイシン錠による治療および精査をお願いしております。