院長コラム

妊娠週数の数え方

妊娠○か月、あるいは妊娠○週○日の数え方は案外複雑で、誤解されている方も少なくありません。今回は、妊娠週数の数え方について整理したいと思います。

 

 

妊娠週数はいつから数えるの?

妊娠週数は月経周期が28日型の方を基準にしています。月経開始の日を妊娠0週0日とし、翌日は妊娠0週1日となり、妊娠0週6日の翌日は妊娠1週0日となります。そして、二週間後の妊娠2週0日を排卵日とし、妊娠40週0日を分娩予定日とします。

ただし、月経不順の方の場合、月経から二週間目に排卵するとは限りません。そこで、基礎体温を付けている方や不妊治療をされている方など排卵日が確定できる方の場合は、排卵日を妊娠2週0日として計算します。

 

 

「妊娠〇か月」と「妊娠〇週」との関連は?

妊娠0週0日から妊娠3週6日の4週間を妊娠1か月、妊娠4週0日から妊娠7週6日までを妊娠2か月と呼びます。妊娠36週0日から妊娠39週6日までを妊娠10か月といいますので、妊娠36週台の分娩は早産でありながら(妊娠37週0日から正期産)、妊娠10か月つまり“臨月”でのお産となります。尚、予定日である40週0日から妊娠11か月となります。

 

 

妊娠はいつ成立するの?

排卵の時期、つまり妊娠2週0日頃に性交すると、翌日には卵子と精子は受精し受精卵となります。その後約6日間かけて、つまり妊娠3週0日頃に受精卵は子宮内膜に着床します。この着床をもって妊娠成立となります。

つまり、“妊娠”といいながらも「妊娠0週」「妊娠1週」「妊娠2週」の段階では、まだ妊娠は成立しておらず、「妊娠3週」から事実上の妊娠が始まります。

 

 

妊娠反応が陽性となるのはいつ?

通常、次回の予定月経開始日あたりの妊娠4週0日頃から妊娠反応が陽性になり始めます。つまり、「予定した月経がこないため妊娠反応を調べたら陽性であった」という場合、すでに妊娠4週は超えていることになります。

 

 

超音波で妊娠が確認できるようになるのは?

子宮内に妊娠していることが確認できるのは妊娠4週後半以降です。その頃になると、胎嚢といって、胎児を入れる袋が認められるようになります。
尚、妊娠6週には数mmの赤ちゃん(妊娠10週未満は胎芽といいます)、心拍が確認でき、妊娠7週になれば胎芽も1cm程度になります。妊娠8~9週の時点で、胎芽の大きさ(頭殿長)から妊娠週数や分娩予定日を修正することがあります。

 

 

服薬など、特に注意が必要な時期は?

妊娠3週6日までに医薬品が投与された場合、「胎芽にダメージが与えられて流産となるか」、「ダメージが修復されて異常のない胎芽になるか」のどちらかとなります。

妊娠4週0日以降妊娠11週6日までは器官が形成される時期ですので、医薬品の服用は注意する必要があります。

 

 

人工妊娠中絶が認められるのはいつまで?

妊娠11週6日までは通常の中絶手術となりますが、妊娠12週0日以降妊娠21週6日までは薬剤を用いて胎児・胎盤を娩出させる方法となります。
また、妊娠12週0日以降は死産届けが必要で、埋葬しなければなりません。
尚、妊娠21週6日までは胎児は子宮の外で生育することができないため、娩出した場合は流産となります。

一方、妊娠22週0日以降の場合は、胎児の成育の可能性があるため、その娩出は早産となり、赤ちゃんを救う対応をします。
以上から、人工妊娠中絶が可能な時期は妊娠21週6日までで、妊娠22週0日以降は中絶手術ができません。

 

 

妊娠週数の数え方を間違えると、胎児の器官形成期の時期や中絶手術が可能な時期など、ずれてしまう可能性があります。
妊娠反応で陽性が確認されたら速やかに産婦人科を受診し、現在妊娠何週であるのかを確認しましょう。