院長コラム

妊娠初期に確認させて頂く情報とその意義

2月23日は天皇誕生日であると同時に、“妊(2)婦(2)さん(3)”の日だそうです。
今回は当院において、妊婦さんに対して妊娠初期に確認させて頂いている情報とその意義について説明致します。

 

(1)身長・体重(BMI)

当院では初診時、身長および妊娠前の体重は自己申告で伺います。
身長が150cm未満で出産経験のない方は“低身長”というリスクのため、当院では分娩ができません。その場合、妊婦健診は当院で可能ですが、分娩は他施設へ紹介させて頂くことになります。
また、身長と妊娠前の体重からBMI(体重《kg》÷身長《m》÷身長《m》)を計算します。妊娠前のBMDが25以上の場合は“肥満”となり、妊娠高血圧症候群など産科合併症や難産などの分娩異常をきたしやすくなります。そのため、分娩歴やご年齢などを考慮し、必要に応じて高次施設へ紹介させて頂く事があります。

 

(2)血圧・尿蛋白・尿糖

高血圧症、腎機能障害、糖尿病の鑑別のため、初診の際、血圧測定、尿蛋白および尿糖の定性検査を行います。
もし、外来での血圧が140/90mmHg以上の場合、ご自宅で定期的に血圧を測定して頂き、その結果、高血圧症が疑われる場合には高次施設へ紹介致します。

 

(3)婚姻関係やご家族の状況

妊娠中も分娩後も、周りの方々からのサポートは必要不可欠です。
そのため、現在ご結婚されているか、あるいは今後入籍の予定があるか、ご本人とご家族(パートナーや実母など)との関係、育児に対して期待できるサポート内容など、お産後の生活も視野に入れてお話を伺っています。

 

(4)妊娠歴・分娩歴

経産婦さんの場合、切迫早産・早産や分娩時出血など周産期異常の既往は、次回の妊娠・分娩に大きく影響します。
また、産後うつや乳腺炎の既往がある場合、妊娠中からのサポート方法も変わってきます。
尚、前回帝王切開でお産された方は、原則として次回の分娩様式も帝王切開となりますが、経腟分娩をご希望の方は日赤医療センターへ紹介させて頂きます。

 

(5)合併症・既往歴・家族歴

身体的・精神的疾患の合併症がある方は、薬剤の胎児に与える影響や、妊娠が疾患に与える影響などを考慮し、主治医の先生と連携して周産期管理をする必要があります。
また、既往歴、特にメンタル疾患の既往は大変重要であるため、ご自身は「たいしたことはなかった」と思われる場合でも、是非お伝え頂きたいと思います。
尚、ご家族・ご親族に高血圧、糖尿病、心疾患などの方がいらっしゃる場合には、ご本人もこれら疾患の素因が隠れており、妊娠をきっかけに病気が表面化する可能性があるため、注意して周産期管理致します。

 

我々医療スタッフは、妊婦さんを取り巻く様々な情報を早めに共有し、サポートに役立てることが大切であると考えています。
不安な点や気になることがありましたら、診察時や各種指導の際など、お気軽にお伝え下さい。