院長コラム

LNG-IUS(子宮内黄体ホルモン放出システム)装着後の検診を忘れていませんか?

月経困難症・過多月経に対してLNG-IUSは非常に有効な治療法です。
一度子宮内に装着すると、通常5年間は効果が持続します。
ただし、様々な副作用をきたす可能性がありますので、定期的な検診は必要です。
今回は、当院におけるLNG-IUS装着後の検診について説明します。

 

装着1か月後

LNG-IUSの装着は、通常月経周期3~7日目頃に行います。
その後、少量の性器出血が持続することがありますが、ほとんどの場合心配は入りません。
月経周期が28日前後の方は、装着1か月頃に月経を迎えます。挿入後最初の月経では、経血量の増加や月経日数の延長などがみられる可能性があります。
そこで、装着の約1か月後の検診では月経の状況を確認し、LNG-IUSがずれていないか調べるために、内診や経腟超音波検査を行います。

 

装着3か月後・6か月後

LNG-IUS装着して数か月経過すると、経血量が減少することも多く、月経期以外の性器出血も収まってきます。
ただし、自然にLNG-IUSが下方にずれることや、子宮外に脱出してしまうこともあるため、定期的な検診は必要です。
また、激しい下腹部痛などの自覚症状が現れる前に、内診により子宮内膜炎・卵管炎が早めに見つかることもあります。

 

装着1年後・2年後・3年後・4年後

装着して1年も経過すると、ほとんどの場合、経血は減少し、月経以外の出血も見られなくなります。さらに、約20%の方は月経がなくなるともいわれています。
装着1年後以降は原則として年1回の検診となり、LNG-IUSの位置、月経や不正出血の状況、骨盤内の炎症の有無などを確認します。
非常にまれですが、LNG-IUSが子宮壁を貫いて、腹腔内へ落ちてしまう事があります。そのような場合は、腹腔鏡下手術が可能な施設へ紹介致します。

 

装着5年後

LNG-IUSの効果は装着して5年を過ぎると低下するため、抜去または入れ換えをします。
閉経の平均年齢である50~51歳以前であれば入れ換えすることが多く、それ以降のご年齢の場合は抜去だけ行う傾向があります。
尚、ホルモン補充療法を行う際、通常は子宮体がん予防のために、黄体ホルモン製剤(子宮内膜組織の増殖を抑制する)をエストロゲン製剤に併用しますが、すでにLNG-IUSを装着している場合には、エストロゲン製剤のみの投与としています。

 

新型コロナウイルス感染が心配なため、LNG-IUSの定期的な検診を自粛される方もいらっしゃるかもしれません。
ただし、気付かないうちに副作用が発生している可能性があります。
月経が見られず、不正出血や下腹部痛もなく快適であったとしても、是非定期検診にはいらして下さい。