院長コラム

エクオール(エクエル)服用をお勧めする場面

エクオールは大豆イソフラボンの代謝物で、エストロゲンに似た構造をしています。
ただし、エストロゲンと全く同じ働きではなく、状況や作用する場所に応じて、エストロゲンと同じような働きをする場合と、エストロゲンの働きを打ち消すような働きをする場合があります。
今回、エクオール(商品名:エクエル)
の服用をお勧めする場面についてお伝えします。

 

更年期症状が気になる

40代に入るとエストロゲンの分泌が減少し始め、のぼせ、発汗、不眠、不安、いらいらなどの更年期症状が現れてきます。更年期症状が悪化し、生活に支障きたすようになったものを更年期障害といい、治療の対象となります。
通常、薬物療法としてホルモン補充療法(HRT)や漢方療法が行われますが、HRTが禁忌である方や、漢方薬の服用が苦手な方がいらっしゃいます。また、薬物療法をするほどではありませんが更年期症状が気になる方も少なくありません。
そのような方々にはエクオールがお勧めです。エクオールのエストロゲン作用の強さは、HRTで使用するエストロゲン製剤の1/1000程度といわれていますが、ホットフラッシュの回数の減少、首・肩こりの程度の軽減など、更年期症状に対する軽減効果が報告されています。
尚、乳がんの治療としてホルモン療法を行うと更年期症状がみられることがあります。その場合のエクオール使用の可否については、乳腺外科の先生方の間でも見解が統一されていません。もし、服用をご希望されるのであれば、かかりつけの乳腺外科の先生とご相談して下さい。

 

骨密度が低下傾向・LDLコレステロールがやや高め

HRT程ではありませんが、エクオールには骨密度を増加させる作用やLDL(悪玉)コレステロールを低下させる作用があると報告されています。
薬物療法がまだ必要でない程度の骨量減少の方や、LDLコレステロールがやや高値の方の場合、食生活や運動習慣の改善を心がけるとともに、エクオールを服用することも有用と考えます。

 

以上の他にも、エクオールには肌のしわを改善させる効果や軽度の手指の不調(へバーデン結節・プシャール結節など)に対する有効性も報告されています。
ただし、3か月以上継続して服用しないと効果は実感できません。
もし、3か月以上服用しても自覚症状や検査データが改善しない時は、薬物療法への切り替えを検討致します。