院長コラム

その外陰部痛の原因は性器ヘルペスかも知れません

外陰部痛でお悩みの女性は少なくありません。その原因は様々ですが、今回は性感染症の一種である、性器ヘルペスについて説明します。

 

 

性器ヘルペスの原因

性器ヘルペスは、性行為などのよる単純ヘルペスウイルス1型または2型の感染が原因です。一度感染してしまうと、神経に潜伏し、免疫力の低下などにより、度々再発を繰り返します。
残念ながら、薬物療法でもヘルペスウイルスを完全に排除することはできません。

 

 

性器ヘルペスの症状

症状は初発の場合と再発の場合で異なります。

初発では、感染の機会があってから約2~10日の潜伏期間の後に発症することが多く、突然外陰部に浅い潰瘍や水疱が出現します。

外陰部疼痛は、尿や椅子に腰掛けることができないほど激しい場合もあり、歩行すら困難な時もあります。

また、ほとんどのケースで両側の鼠径部リンパ節の腫脹・圧痛がみられ、発熱、全身倦怠感を認めることも少なくありません。

 

一方、心身の疲労、感冒、月経などをきっかけにして発症する再発の場合は、小水疱や小さな潰瘍が1~数個出現しますが、多くは1週間前後で自然治癒します。

 

 

性器ヘルペスの診断

診断は外陰部潰瘍・水疱など、特徴的な臨床所見で判断することが多く、その他検査として、単純ヘルペスウイルス抗体検査や病変部の細胞診などで診断することもあります。

 

 

性器ヘルペスの治療

治療法は、単純ヘルペスウイルスの増殖を抑制する目的で、抗ウイルス内服薬「バルトレックス」1日2回5日間服用および外用剤「アラセナA軟膏」1日数回数日の塗布が主流です。

また、年6回以上再発を繰り返す患者さんに対しては、再発抑制療法として「バルトレックス」を1日1錠連続服用して頂く事があります。

さらに当院では、免疫力を高めるために、漢方薬「補中益気湯」を併用することもあります。

 

 

妊娠・分娩と性器ヘルペス

経膣分娩時に母体に性器ヘルペスが存在すると、初感染では約50%、再発型では1~3%に新生児ヘルペスが発症するといわれています。

新生児ヘルペスのほとんどは経腟分娩で感染するため、新生児への感染を防ぐために、外陰部に病変がある場合はもちろんのこと、初感染では発症から1ヶ月以内、再発では発症から1週間以内の場合も帝王切開が行われます。

 

 

パートナーも検査・治療を

パートナーも感染している可能性が非常に高いため、速やかに泌尿器科を受診してもらいましょう。

もし感染しているのであれば、お互いにしっかり治療が終わるまでは、性行為は避けて下さい。

また、自覚症状が無くても感染することがありますので、妊娠をご希望でない場合は必ずコンドームを使用して下さい。

 

 

単純ヘルペスウイルスを完全に排除することはできませんが、生活習慣を改善し、免疫力を向上させることで、再発を抑えて健康的な生活を送ることができます。
「一病息災」のお気持ちで、日々お過ごし下さい。