院長コラム

「冷え」対策と漢方

日本人女性の約7割が冷え症といわれています。現代女性は、ストレス・無理なダイエット・運動不足など、冷えやすい生活習慣へと変化した結果、60年前と比べると体温が約1℃も低下したといわれています。
今回は、株式会社ツムラ発刊の冊子「冷え改善のススメ」を参考に、冷え対策と漢方について情報を共有したいと思います。

 

全身型

新陳代謝が低下し、全身が冷えるタイプです。食欲や気力が低下し、疲労感や倦怠感が生じます。
生活習慣の改善ポイントは、睡眠をしっかりとり、軽めの有酸素運動(ウォーキングなど)を行うといいでしょう。また、冷たい飲物や食べ物を避けて、暖かく消化のいい物を腹八分目で食べるようにしましょう。ショウガ、ネギなど、体を温める性質の食品を積極的に摂ることが勧められます。
漢方薬として、六君子湯・大建中湯・補中益気湯・八味地黄丸などが適応になります。

 

四肢末端型

手足の先まで血液が循環していないタイプです。10~20代女性に多く、疲労や無理なダイエットが原因と考えられ、ニキビ、月経トラブルが起こりがちです。
生活習慣の改善ポイントとして、ウォーキングや筋肉トレーニングを行うといいようです。また、入浴の際は湯船につかるようにしましょう。プルーンなどのドライフルーツ、黒豆、黒ゴマ、ひじきなどの黒い食材はオススメとのことです。
漢方薬として、当帰芍薬散、当帰四逆加呉茱萸生姜湯、人参養栄湯などが適応になります。

 

上熱下寒型

血の巡りが悪く滞った状態で、上半身がのぼせて、下半身が冷えるタイプです。いらいら・頭痛・顔のほてり・かたこり・肌荒れ・月経トラブル・便秘などがみられます。
生活習慣の改善ポイントは、下半身浴で下半身を温め、スクワットなどで下半身の筋肉を強化することがよいそうです。また、長時間同じ姿勢を続けないようにしましょう。冷たい飲物や食べ物、甘いもの、高脂肪のものを控え、青魚・野菜・酢の物などを摂ることがいいそうです。
漢方薬として、桂枝茯苓丸。温経湯などが適応になります。

 

体感異常型

ストレスで自律神経に影響が出て、血流が悪くなり冷えを感じるタイプです。不眠・集中力低下・食欲不振などの症状を認めることがあります。
生活習慣の改善ポイントは、気分転換し、ストレスを溜めないことが大切で、ヨガやストレッチなどのゆっくりとした運動がいいようです。また、長めの入浴やアロマなどでリラックスするようにしましょう。香りの高いレモン・シソ・ミントなど効果的のようです。
漢方薬として、加味逍遥散、抑肝散などが適応になります。

 

様々なタイプの冷えが混在しているケースも多いと思われます。
適度な運動を心がけ、冷たい飲物・食べ物を控え、ゆっくり湯船に使って入浴することが、生活習慣の基本のようです。
それでも冷えが改善しない場合は、漢方薬をお勧めします。