院長コラム

頻発月経の対処法

正常の月経周期は25~38日と定義されており、24日以内のものを「頻発月経」といいます。不正出血との鑑別が難しい事があるため、原則として基礎体温を参考にして診断します。
今回は、頻発月経の対処法について説明します。

 

頻発月経の種類

頻発月経は「無排卵性」と「排卵性」に分けられ、約60%が無排卵性といわれています。
無排卵性は、基礎体温が一相性であることで診断します。主に、初経が始まって間がない思春期や閉経前の更年期にみられます。
排卵性は、月経から排卵までが短い「卵胞期短縮性」と、排卵から次回月経までが短い「黄体期短縮性」に分類されます。卵胞期短縮性は、卵胞発育が促進され過ぎてしまうことが原因であり、閉経前に多いといわれています。一方、黄体期短縮性は、排卵した後の組織である黄体の機能不全によって引き起こされます。

 

頻発月経の治療

年齢、月経痛や貧血の有無、妊娠希望の有無などにより治療方針を決定します。
初経が始まって数年間は無排卵性の事が多く、ほとんどの方が年齢とともに正常な排卵性周期となるため、原則として治療は必要ありません。ただし、月経痛により生活に支障をきたすのであれば、低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(LEP)により、月経痛を抑え、月経周期をコントロールすることがあります。
性成熟期の無排卵性の場合、いずれ妊娠をお考えの方には黄体ホルモン製剤を周期的投与する「ホルムストローム療法」というホルモン療法を行い、ゆっくりと排卵性周期を目指します。
一方、すぐに妊娠を希望される方の場合は、各種ホルモン検査を行った上で、排卵誘発剤を使用することがあります。
閉経前の場合、不正出血との鑑別のため、まず子宮体がん検査などで悪性疾患を除外します。その上で頻発月経と診断された場合は、無排卵性にしろ、卵胞期短縮性にしろ、生理的な変化であって異常ではないため、積極的に治療することはありません。
ただし、子宮筋腫や子宮腺筋症のため、過多月経による貧血を認める場合には、“自然閉経への逃げ込み”を期待して偽閉経療法を行うこともあります。

 

性成熟期の方で、「月に2回月経がくる」と思われたら、まずは基礎体温を1~2か月間計測されることをお勧めします。
また、更年期の方で頻回に出血を認める場合は、頻発月経と決めつけず、子宮体がんなどの悪性疾患の鑑別が必要です。
早めに婦人科を受診しましょう。