院長コラム

現代女性は月経の回数が多過ぎます

月経困難症や子宮内膜症といった婦人科疾患は昔に比べて増加していますが、その理由の一つとして、月経の回数が昔に比べて増えていることが挙げられています。
今回は、月経困難症の第1選択として用いることが多い「ヤーズフレックス」について説明します。

 

 

機能性月経困難症の痛み

機能性月経困難症の方の場合、明らかな月経痛の原因となるような病気はありませんが、子宮内膜から産生される子宮収縮物質(プロスタグランディン)により痛みが発生します。

したがって、子宮内膜が厚ければ厚いほど、痛みの元になるプロスタグランディンも多くなるため、月経痛も強くなります。

つまり、子宮内膜を薄くさせることにより、プロスタグランディンが減少し、月経痛を軽減させることができます。

 

 

子宮内膜症の痛み

子宮内膜症とは、腹膜、卵巣、子宮を支えている靱帯など、主に骨盤内に子宮内膜の組織がはびこる病気です。その子宮内膜組織が増殖と出血を繰り返し、骨盤内の炎症や癒着を引き起こすため、月経痛が増強し、性交痛や排便痛が見られることもあります。

骨盤内に子宮内膜の組織がはびこる原因として、月経血の卵管からの逆血が言われています。逆血が多いと、骨盤内にはびこる子宮内膜組織が多くなり、子宮内膜症の症状が増悪します。

また、月経の回数が多ければ多いほど、逆血の頻度が高まるため、やはり子宮内膜症は悪化します。

つまり、子宮内膜を薄くし、かつ月経の回数を減らすことが、月経血の逆流の量を減らすことになるため、子宮内膜症の軽快あるいは予防につながります。

 

 

「ヤーズフレックス」で月経回数を減らす

今までの低用量ピル(OC)や低用量エストロゲン・プロゲスチン配合剤(LEP)は、ホルモンが入っている実薬を21~24日間服用し、7日間の休薬または4~7日間プラセボ(薬剤の入っていない偽薬)服用していました。

一方、ヤーズフレックスは原則として120日間連続して服用し、その後4日間休薬するという飲み方になっています。つまり、服薬中の不正出血を除けば、一年間に3回しか月経(ホルモンの休薬に伴う消退出血)がこないことになります。

 

 

月経困難症・子宮内膜症治療にはヤーズフレックスがお勧め

他のOC・LEPと同様、子宮内膜を薄くさせ、骨盤内にはびこる子宮内膜組織を抑え込むのはもちろん、月経の回数が少ないため、腹腔内への逆血も減少することがヤーズフレックスの大きな利点の一つです。

 

 

産業界では「イノベーション(革新・大きな変化)」が重要視され、従来の発想を転換することが求められています。
月経についても、「月経は月に一回くるもの」という従来の考えに縛られず、「むしろ本来の女性の体にとって望ましい環境を整えるために、ヤーズフレックスを活用する」といった考えが広まって欲しいと思います。