院長コラム

月経の基礎知識を確認しましょう

思春期から更年期の女性にとりまして、月経は日常生活の一部であり、そのトラブルは生活の質に大きな影響を与えます。しかし、月経についての学ぶ機会は、あまりないのではないでしょうか。
今回は、「女性医学ガイドブック 思春期・性成熟期編 2016年度版」「ハッピーライフのために女性が知っておきたい30のこと」(毎日新聞出版)などを基に、月経に関する基礎知識を整理したいと思います。

 

 

月経とは

月経とは、「約一ヵ月の間隔で自発的に起こり、限られた日数で自然に止まる子宮内膜からの周期的出血」と定義されています。

 

 

月経の間隔

月経の間隔ですが、月経開始日から次回月経の前日までが25~38日の場合を正常としています。24日以内の場合は「頻発月経」、39日以上3ヵ月以内の場合は「希発月経」、3ヵ月以上月経がみられない場合は「続発性無月経」といいます。

 

 

月経の持続期間・経血量

正常の月経持続期間は3~7日(平均4.6日)であり、正常の経血量は20~140mlと定義されています。
2日以内の月経を「過短月経」、経血量が少量の場合を「過少月経」といい、女性ホルモン・甲状腺ホルモンなどの異常や子宮内膜の癒着などが原因になっていることがあります。
また、8日間以上持続する月経を「過長月経」、量が多い月経を「過多月経」といいますが、これらの場合、子宮内膜を圧迫する子宮筋腫が原因であったり、多量の経血により貧血をきたしていることがあります。

 

 

初経の時期

初めての月経である初経(初潮)は、10~14歳で見られる場合を正常と定義しており、わが国の平均初経年齢は12歳です。15歳以上で初経があれば「遅発月経」、18歳になっても初経が起こらないものを「原発性無月経」といい、診察の対象となります。

一方、10歳未満で初経がみられた場合は「早発月経」といい、早期の女性ホルモン分泌により骨の成長が止まり、低身長になってしまう可能性があるため、専門医による診察・治療が必要です。

 

 

月経周期に伴う卵巣の変化

① 卵胞期

月経が始まると、脳の下垂体から卵胞刺激ホルモン(FSH)が分泌され、卵巣にある卵胞(卵子が入っている袋)は発育し、卵胞からエストロゲン(卵胞ホルモン)という女性ホルモンが分泌されます。

 

② 排卵期

卵胞が十分に発育すると、下垂体から黄体化ホルモン(LH)が分泌され、その影響で卵胞が破裂し、中に入っていた卵子が飛び出します(排卵)。

 

③ 黄体期

排卵後の卵胞は黄体という組織に変化し、エストロゲンとプロゲステロン(黄体ホルモン)を分泌します。この周期で妊娠しなければ、黄体は約14日間で役目を終え、エストロゲン・プロゲステロンともに減少することになります。

 

 

月経周期に伴う子宮内膜の変化

① 増殖期

月経により内膜は剥がれ落ちますが、卵胞期に分泌されるエストロゲンの作用により、内膜は徐々に厚みを増していきます。

 

② 分泌期

排卵後、黄体から分泌されるエストロゲンとプロゲステロンの作用により、内膜は受精卵が着床しやすい環境に変化します。

 

③ 月経期

妊娠に至らずエストロゲン・プロゲステロンともに減少すると、子宮内膜を維持することができなくなり、内膜は子宮から剥がれ、血液とともに子宮外に排出されます。これが月経です。

 

 

ご自身のホルモン環境を把握したい方は、毎日基礎体温を計測しましょう。
月経や排卵のトラブルで婦人科を受診される方は、少なくとも1~2ヶ月計測した基礎体温表をご持参されることをお勧めします。