院長コラム
日本人のための“がん予防法” ~がんリスクの半減を目指して~
日本人の2人に1人が、一生に一度はがんになるといわれています。そのような中、日本人数万人を対象とした生活習慣とがんとの関連を調べた研究結果が報告されました。
今回、日本医師会雑誌(2018年12月号)の記事などを中心に、女性を対象とした“がん予防法”について共有したいと思います。
生活習慣とがんとの関連
○胃がんのリスク要因:毎日の高塩分食品
ほぼ毎日摂取する方は、ほとんど摂らない方の2.5-3.5倍となります。
○ 閉経後乳がんのリスク要因:肥満
BMI(体重kg÷身長m÷身長m)30以上の方は、19未満の方に比べて2.3倍となります。
○ 肺がんのリスク要因:受動喫煙
夫が喫煙者の女性は、夫が非喫煙者に比べて1.3倍となります。
○ 全部位のがんのリスク要因:運動不足
運動をほとんどしない方は、積極的にしている方と比べて1.15-1.19倍となります。
○ 全部位のがんのリスク要因:野菜不足
1日110g程度しか摂取しない方は、420g摂取している方と比べて1.06倍となります。
食事とがん・循環器疾患・糖尿病との関連
○ 大豆・イソフラボン
特に閉経後の乳がんのリスク低下
心筋梗塞のリスク低下
脳卒中のリスク低下
糖尿病(特に閉経後、肥満の方)のリスク低下
○ 緑茶
胃がんのリスク低下
脳卒中のリスク低下
○ コーヒー
結腸がん(特に浸潤がん)のリスク低下
子宮体がんにリスク低下
脳卒中のリスク低下
5つの健康習慣
現状では、喫煙・受動喫煙・肥満・運動不足・感染症(ヒトパピローマウイルス、ピロリ菌、肝炎ウイルス)、野菜・果物不足、高塩分食品、熱い飲食物などが日本人のがんの原因として確実と考えられています。
そこで、以下の「5つの健康習慣」が推奨されています。
① 禁煙する・受動喫煙を避ける
たばこは、肺がん・食道がん・膵臓がん・胃がん・大腸がん・膀胱がん・乳がんなど多くのがんリスク要因となっています・
受動喫煙も肺がん(特に腺がん)、乳がんのリスク要因となります。
② 節酒する
女性の場合は乳がんのリスクが高まり、弾性に比べてより少ない量でリスクが高くなるといわれています。
③ 身体を動かす(身体活動)
特に胃がんのリスクが低下します。
④ 食生活を見直す
・減塩する
・野菜と果物をとる
・熱い食べ物や飲み物はさましてから
⑤ 適性体重を維持する
・女性の場合、BMI 21~25の範囲で管理する
5つのうち実践した健康習慣が2つの方は14%、3つの方は27%、4つの方は32%、5つの方は37%リスクが低下すると推計されています。
これらの健康習慣は、ほとんどの方がテレビや雑誌の情報、あるいはかかりつけ医からの生活指導などで、ご存知であるかと思います。
ただし、知識として知っていても、実践しなければ全く意味がありません。
日々の習慣となるまで、意識して実行するようにしましょう。