院長コラム

子宮頚管部ポリープは原則として切除し、組織学的に検査します

不正出血や性交時出血で受診される方の中には、子宮頚管部ポリープが認められることがあります。
また、自覚症状がない方でも、子宮がん検査で見つかることも少なくありません。
今回は、当院における子宮頚管部ポリープの対応についてお話致します。

 

 

子宮頚管部ポリープとは

子宮頚管部ポリープとは、頚管粘膜が限局的に増殖した、茎を有する小さなイボです。
外子宮口から露出し、平面は平滑ですが、接触により出血をきたすことがあります。

 

 

子宮頚管部ポリープは良性?悪性?

組織学的にはほとんどが良性ですが、ある報告によると、切除されたポリープのうち、約0.1%に悪性、約0.5%に異形成(正常と悪性の間の病変で、中には悪性に進行するものもあります)がみられました。

 

 

当院での対応(1):妊娠していない方の場合

子宮頚管部ポリープの中にも、わずかとは言え悪性の可能性がありますが、肉眼的に鑑別することはほとんど不可能です。
したがって、当院では原則的に頚管部ポリープを切除し、組織学的検索を行なっています。

また、切除後に再発することも決して少なくないため、不正出血、性交時出血、帯下増量などの症状が見られた時や、定期的な子宮頚がん検査の際に、子宮頚管部ポリープの再発の有無を確認致します。

 

 

当院での対応(2):妊婦さんの場合

妊娠中に発見された子宮頚管部ポリープの対応については、いろいろな考え方があります。

一つは、妊娠中にポリープを切除することが流産や破水を誘発するため、妊娠中は頚管ポリープを温存した方がいい、という考えです。

もう一つは、頚管部ポリープ自体が出血や感染の元になるので、予防的に切除した方が良い、という考えです。

最近の研究では、妊娠10~20週の頚管部ポリープ合併例において、頚管部ポリープを切除した群と比較して、頚管部ポリープを放置した群では有意に絨毛羊膜炎の発生が高かったと報告しています。

当院では、妊娠12週前後までの妊婦さんで、ポリープの茎は細く、切除による出血が少ないことが予想される場合には積極的に切除し、妊娠中期以降の妊婦さんや茎が太いケースでは、細菌性腟症に注意しながら経過観察することが多いです。

 

 

ポリープを捻って切除する場合、麻酔は使いませんが、あまり痛みは感じず、出血も少量である場合がほとんどです。
不正出血や性交時出血を認める時は、子宮がん検査および頸管部ポリープ確認のため、是非受診して下さい。