院長コラム

過多月経・月経困難症に対するIUS(ミレーナ)の効果

過多月経や月経困難症の治療薬として、現在LEP(低用量エストロゲン・プロゲスチン配合剤)が主流ですが、40歳以上の方、肥満の方や喫煙者など、血栓症という副作用を考えるとLEPを使用しづらい方も多くいらっしゃいます。
そこで、今回は、全身的な副作用が少ないIUSについて説明します。

 

 

IUS(ミレーナ)とは

IUSとは、高濃度の黄体ホルモンを子宮内に持続的に放出する子宮内黄体ホルモン放出システムの事で、5年間有効です。

黄体ホルモンには子宮内膜を薄くする作用があり、その結果として、受精卵が着床しづらくなります。
以前は、この作用を利用して、避妊目的で使用するケースが主流でした。

IUSは避妊効果も非常に高いですが、現在は過多月経や月経困難症に対して保険適応があり、こちらの目的で使用することが多くなっています。

 

 

過多月経への効果

子宮内膜を薄くさせるということは、月経量を減少させる効果があることから、過多月経に対する治療で用いられます。

データとしては、装着後3か月で有意に減少し、装着して12か月後には、多くの症例で経血量が微量になることが知られています。

もちろん過多月経による貧血の改善にも有効であり、装着後6~12か月にはかなり改善されます。

 

 

月経困難症への効果

月経痛は、子宮内膜組織から産生される痛み物質が関与しているため、子宮内膜が薄くなれば痛み物質も減少し、月経痛も軽快します。
IUSは内膜を薄くさせますので、月経困難症の治療としても有効です。

データからは。装着後3ヶ月には月経痛が軽減し、他に骨盤痛、性交痛に対しても効果が期待できます。

 

 

IUSの副作用

副作用としては、月経以外の出血がしばらく認められますが、装着後3ヶ月以降は、かなり減少します。

また、挿入時に下腹部痛を認めることがありますが、ほとんどの方は一過性です。

非常にまれですが、黄体ホルモンが子宮内膜から吸収され、少量ですが全身に回って乳房痛などをきたすこともありますが、多くは1-2ヶ月で消失します。

 

 

IUS自然脱出

比較的使用しやすいIUDですが、子宮筋腫や子宮腺筋症の方、分娩直後や子宮内容除去術直後の方など、数か月の間に自然に子宮頚部にIUSが下降してしまう場合もあります。

その場合、もう一回挿入することもありますが、他の治療との併用や切り替えを検討することもあります。

 

 

IUSは非常に有効な治療法です。
各自のライフスタイルや自覚症状に合わせて取り入れておりますので、過多月経・月経困難症でお悩みの方は、是非ご相談下さい。