院長コラム

子宮頚がん検査結果の意味と方針

前回は子宮頚がん検査についてお話致しました。
今回は、子宮頚がん検査の結果(扁平上皮系)の意味と当院での方針について説明します。

現在の子宮頚部細胞診の判定は、原則として世界標準であるベセスダシステムで表記しておりますが、場合によって以前使用されていたクラス分類を併記している場合もあります。
ベセスダシステムの判定は以下のようになります。

 

【1】陰性(NILM)

非腫瘍性所見または炎症が推定されます。
旧クラス分類のⅠ、Ⅱに相当し、原則として精査、治療の必要はありません。

ただし、外陰腟カンジダ症、外陰部ヘルペスなどが見つかった場合は、症状に応じて治療致します。

区健診の結果で「特に異常を認めず」とあるのは、この「NILM」のことです。

 

【2】意義不明な異型扁平上皮細胞(ASC-US)

軽度扁平上皮内病変の疑いが推定されます。旧クラス分類のクラスⅡ~Ⅲaに相当します。

当院にてハイリスクのヒトパピローマウイルス(HPV)検査を行ないます。
陰性であれば半年~1年後に細胞診を行い、陽性であれば拡大鏡検査と組織診を行います。

 

【3】HSILを除外できない異型扁平上皮細胞(ASC-H)

高度扁平上皮内病変の疑いがあります。
旧クラス分類のクラスⅢa~bに相当します。

中等度異形成までの推定病変であれば、当院にて拡大鏡検査と組織診を行います。
高度異形成以上の病変が疑われる場合は、高次施設へ紹介します。

 

【4】軽度扁平上皮内病変(LSIL)

HPV感染、軽度異形成が推定されます。
旧クラス分類のクラスⅢaに相当します。
当院にて拡大鏡検査と組織診を行います。

 

 

【5】高度扁平上皮内病変(HSIL)

中等度異形成、高度異形成、上皮内がんが推定されます。
旧クラス分類のクラスⅢa、Ⅲb、Ⅳに相当します。

中等度異形成までの推定病変であれば、当院にて拡大鏡検査と組織診を行います。
高度異形成以上の病変が疑われる場合は、高次施設へ紹介します。

 

【6】扁平上皮がん(SCC)

扁平上皮がんが推定されます。
旧クラス分類のクラスⅤに相当します。
精査・治療目的で高次施設へ紹介します。

(その他、比較的頻度の少ない「腺系細胞の異常」がありますが、当院では基本的に高次施設へ紹介しております。)

 

異常所見が出た方には、責任を持ってフォローアップ致します。
そのため、結果および方針の説明日には、必ずご来院頂きます様、何卒宜しくお願い申し上げます。