院長コラム

妊娠中のカフェイン摂取は大丈夫?

先日、当院通院中の妊婦さんから「妊娠中にコーヒーを飲んでも大丈夫か?」とのご質問を受けました。
今回は、「薬物治療コンサルテーション妊娠と授乳(改訂3版)」「臨床婦人科産科2022年5月号」の記事を参考に、妊娠中のカフェイン摂取について情報共有致します。

 

カフェインの作用

カフェインはコーヒー、紅茶、緑茶、コーラ、栄養ドリンク、エナジードリンクなど、多くの飲料中に含まれています。
カフェインには直接あるいは間接的に、中枢神経の興奮作用、利尿作用、血管収縮作用などが認められており、適量であれば疲労を除き、眠気を防ぐ作用があります。
ただし、大量に摂取すると、めまい、不整脈、不眠、不安、興奮、幻覚などが起こることもあるそうです。

 

胎児への影響

カフェインやその代謝物質は胎盤を通過しやすく、羊水と胎児の血中に移行します。胎児は肝臓機能が未熟であり、カフェインを代謝するのに時間がかかるため、長時間高濃度のカフェインにさらされます。
また、胎盤の血管収縮や胎児心拍数の増加をきたす可能性があり、胎児発育不全などのリスク増加を示す報告もあるようです。
ただし、明確な母児に対する影響は分かっておらず、少なくとも日常的な使用量の範囲であれば、カフェインの影響のみで流産率や奇形発生率が上昇することはないと考えられています。

 

妊婦さんはカフェイン摂取1日300㎎までに

現時点では「妊婦さんのカフェイン摂取量は1日200~300㎎未満」が望ましいとされており、コーヒーならマグカップで2杯程度までがいいようです。
ちなみに、100mlあたりのカフェイン量の目安は、コーヒー:60㎎、玉露:160㎎、紅茶:30ml、ウーロン茶:20㎎、番茶・玄米茶:10㎎だそうです。
また、市販されている飲料の中には、成分表にあるカフェイン濃度より、実際の濃度の方が多い銘柄もあるようですので注意が必要です。

 

コーヒー、紅茶、日本茶にはリラックス効果があるため、妊娠しているからといって禁止する必要はありません。
ただし、妊娠中期以降はカフェインを代謝する時間が長くなります。
1日300㎎未満を目安にゆっくり楽しみましょう。