院長コラム

妊娠を希望したら、積極的に葉酸(1日0.4mg)の摂取を

厚生労働省は妊娠可能な年齢の女性に対して、食品からの葉酸摂取に加えて、栄養補助食品から(400μg)の葉酸を摂る事を勧めています。
一体なぜでしょうか?
今回は妊娠と葉酸について説明します。

 

 

葉酸とは

葉酸とはビタミンB群の一種で、タンパクの合成など細胞が新しく産生されるときに必要不可欠な栄養素です。
したがって、赤ちゃんの細胞の分裂・発育に、葉酸は欠かす事ができません。

葉酸は、ほうれん草などの葉野菜・緑黄色野菜、イチゴ・柑橘類などの果物、納豆・豆腐などの豆類、のり・昆布などの海藻類に多く含まれており、日頃からこれらの食品をバランスよく摂ることが大切です。

 

 

妊娠と葉酸との関係は

妊娠1ヶ月前から妊娠3ヶ月まで、1日0.4mgの葉酸を摂取することで、胎児の神経管閉鎖障害の発症リスクを低下させることができます。

 

 

神経管閉鎖障害とは

神経管閉鎖障害とは、先天性の脳や脊柱に発生する癒合不全のことで、無脳症、二分脊椎などがあります。

神経管の閉鎖は妊娠6週末で完成するので、それ以降に葉酸の摂取を開始しても神経管閉鎖障害の予防にはなりません。できるだけ妊娠1ヶ月前からの摂取に心がけましょう。

 

 

その他の利点は?

その他の葉酸の効果として、早産・胎児発育不全・常位胎盤早期剥離・妊娠高血圧症候群などの産科合併症のリスクを減少させる可能性が報告されています。
したがって、妊娠1ヶ月前から分娩まで、1日0.4mg(400μg)を継続的に摂取することが理想的ですが、妊娠中気付いた時点からでも、葉酸を摂取することに意味があります。

 

 

摂取方法

食物からの摂取が基本ですが、1日0.4mgを毎日の食事から摂取することは、現実的に困難です。そのため、サプリメントで補充する必要があります。

ただし、サプリメントの利用にはいくつかの注意が必要です。
量としては、医師の管理下にある場合を除き1mg(1000μg)を超えないようにします。
また、催奇性が指摘されているビタミンAが含まれている総合ビタミン剤での摂取も控えた方が無難です。

当院では食事からの摂取に加えて、杏林製薬の「葉酸」(1粒で0.4mg)をお勧めしております。1箱(約4ヶ月分)1,350円(税込)で販売しています。

 

 

ご結婚された時から、食事とサプリメントによる葉酸摂取を習慣化しましょう。