院長コラム
“加熱式たばこ”も有害です
前回に引き続き、受動喫煙に関する情報を共有したいと思います。
今回は、最近急増している加熱式たばこ(アイコス、グロー、ブルーム・テック)の有害性について説明します。
“加熱式たばこ”とは
たばこを直接燃やして吸うのではなく、300℃程度に加熱することで「蒸し焼き」状態にし、ニコチンを染み出させて吸うようです。
吸う人に対する害
加熱しても有害成分が出てきます。たばこ会社のデータでは、9つの有害性成分の量が紙巻たばこの10%程度であると報告しています。
しかし、そもそも紙巻たばこの煙に含まれる有害成分が多量であるため、いくら9割削減したところで有害性がなくなる訳ではありません。また、他の有害成分は軽減していないため、紙たばこより安全とは決して言えません。
加熱式たばこによる「新しい受動喫煙」
たばこ会社は、「煙が出ないので副流煙が生じない」ことを強調していますが、加熱式たばこから出る霧やもや(エアロゾル)の中にもニコチンなどの有害成分が入っていることがわかっています。
また、紙巻たばこの煙より粒子が小さいからか、エアロゾルの拡散スピードが早いともいわれています。確かに不快な匂いは少ないかもしれませんが、かえって気付かないうちに、副流煙の被害にあう可能性が高まるのではないか、と思います。
結局“たばこ”はニコチン依存
ニコチンは脳に作用して依存性を高めることが知られています。ニコチンの血中濃度が高まると、確かに「満足感・安心感」が得られますが、血中濃度が低下すると「いらいら・不安感」が出現します。すると、いらいらを抑え、満足感の高めるために、再びたばこを吸って、ニコチンの血中濃度を高めようとします。そして、しばらくすると再びニコチンの血中濃度が低下します。この繰り返しが永遠に続きます。
このようにニコチンの血中濃度の乱高下に合わせて、気持ちも乱高下するため、たばこによりストレスが解消することはありません。
“アイコス”は紙巻たばこに比べてニコチンの吸収率が高い、との報告もあります。
今まで紙巻たばこ吸っていた方が、受動喫煙への配慮や禁煙へのステップとして、“加熱式たばこ”に切り替える方もいらっしゃいますが、無意味です。
これから研究も進んでくると思いますが、“加熱式たばこ”には手を出さないようにしましょう。