院長コラム

受動喫煙は、あなたの想像以上に危険です

先日、玉川医師会にて受動喫煙に関する勉強会がありました。
タバコの害については理解している方も多いと思いますが、受動喫煙の被害については、あまり浸透していない印象があります。実は、私自身も知らない事が多く、大変勉強になりました。
今回は、受動喫煙の恐ろしさについて説明します。

 

 

副流煙は主流煙より有害

タバコの煙を吸い込む時には、タバコの先端の温度は900℃にも達するため、実は発がん物質の一部は分解されます(もちろん、だからといって、吸っても大丈夫というわけではありません)。

一方、煙を吸っていない時のタバコの先端の温度は300~400℃程度で、いわいる不完全燃焼の状態となるため、様々な有害物質は分解されずに周辺に漂います。

ちなみに、タバコには約4000種類の化学物質、約200種類の有害物質、そして70種類以上の発がん物質が含まれています。

つまり、タバコを吸っている当事者より、そのまわりの吸っていない方々の方が、様々な有害物質による被害が大きくなります。

更に、狭い喫煙ルームや換気の悪い部屋で複数の人がタバコを吸うと、主流煙+副流煙のダブルパンチで、大変な被害となります。

 

 

煙の粒子は目に見えない

受動喫煙の厄介なところは、小さな煙の粒子は目に見えないことです。目に見える煙はある程度防ぐことができても、目に見えず、匂いもしない有害物質を避けることはほとんど不可能です。

つまり、飲食店で義務付けられる分煙では受動喫煙は防ぐことができません。

 

 

受動喫煙の意外な被害:糖尿病

タバコによる呼吸器疾患、心疾患、脳血管疾患や多くの悪性腫瘍による被害は知られていますが、実はニコチンの作用で、血糖を下げるインスリンの働きが低下し、糖尿病になりやすくなることがわかってきました。

しかも、喫煙者だけでなく、受動喫煙者の糖尿病リスクも増加することが知られています。ある調査では、職場の受動喫煙で糖尿病が80%以上の増加した、と報告されています。

 

 

スモーク・ハラスメント(スモハラ)裁判が増加

最近、テレビをつけるとセクハラ、パワハラの話題でもちきりですが、“スモハラ”の裁判も増加しているようです。特に職場でのスモハラはパワハラと融合し、多くの方々が辛い思いをしているのではと思います。

ある裁判では、受動喫煙被害に700万円の和解金を会社側が支払うように勧告したそうです。

受動喫煙問題は、飲食店だけでなく、すべての事業所が取り組むべき重要な課題です。

 

 

現在、日本の喫煙率は約18%と言われています。ほとんどの方がタバコを吸わない時代、少なくとも職場や、未成年・妊婦さんや乳幼児・高齢者などが集まる可能性がある飲食店は、受動喫煙防止効果が不十分な分煙ではなく、全面禁煙にするべきでしょう。
もちろん、当院は敷地内禁煙です。特に妊婦さんの付き添いでいらっしゃるご主人やお父様、トイレや玄関脇での喫煙はご遠慮下さい。