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院長コラム

低用量ピル服用の方は長距離移動にご注意を

先日、世界的ミュージシャンであるジャスティン・ビーバーさんの奥さんで、モデルのヘイリー・ビーバーさんが脳梗塞のため入院していた、との報道がありました。
詳細は分かりませんが、最近低用量ピルを飲み始めた事、新型コロナウイルスに感染したこと、長時間飛行機で移動していたことなどが、血栓症の原因と考えられているようです。
今回は、低用量ピル(OC・LEP:経口避妊薬、低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬)を服用されている方に向けて、「OC・LEPガイドライン2020年度版」を参考に、血栓症に関する注意事項をお伝えします。

 

片頭痛持ちの方は要注意

低用量ピルに含まれているエストロゲンには血液を凝固させる作用があるため、血栓症のリスクが高い方には低用量ピルを処方することはありません。そのため、“視界がピカピカし、次第に広がって、その後に暗くなる(閃輝暗点)”などの前兆がある片頭痛をお持ちの方は、血栓症のリスクが高いため、低用量ピルは“投与禁忌”となります。
前兆がない片頭痛をお持ちの方は“慎重投与”となっているため、低用量ピルを服用されている方も多いと思いますが、片頭痛自体が脳梗塞のリスク因子です。頭痛の増強や前兆の出現がみられましたら、すぐに処方医にご連絡、ご相談下さい。
ヘイリー・ビーバーさんは片頭痛持ちであったようですが、そのことを主治医には伝えていなかったそうです。
当院では低用量ピルの処方に当たり、全員に低用量ピル専用問診票をご記入頂いており、事前に投与禁忌でないことを確認し、リスクの有無について把握するようにしています。

 

長距離移動(長時間の不動姿勢)に要注意

長時間の飛行により下肢の深部静脈に血栓症をきたすことは、「エコノミークラス症候群」として広く知られるようになりました。
もちろん、飛行機だけでなく、長時間の不動姿勢を余儀なくされるのであれば、自動車、列車、船舶などでも起こりえます。
とりわけ、40歳以上、肥満、低用量ピル服用中(特に服薬開始3か月以内)などの方は、血栓症のリスクはさらに高くなります。
予防策として、脱水を防ぐため移動中も水分を十分に摂取することが重要です。
ただし、アルコールは利尿作用があり、毛管内脱水となってしまうため逆効果です。長距離移動中はビール、ハイボール、酎ハイなどお酒は控えましょう。
そもそも、低用量ピル服用中の方は、できるだけ長時間の座位を避けることが望ましく、時々通路を歩行することや、1時間毎に3~5分ほど足指やかかとの上下運動をすることが勧められています。
また、弾性ストッキングの使用により血栓症のリスクが低下するとの報告もあります。低用量ピル服用中で長距離移動しないといけない方は、是非弾性ストッキングの使用をご検討下さい。

 

ゴールデンウィークが始まり、長時間のフライトやドライブを予定されている方も多いのではないでしょうか。
低用量ピル自体は、避妊や月経困難症の治療に大変有用な薬剤です。
是非、リスクに注意した上で服用し、楽しい休日を満喫して下さい。

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