院長コラム
ダウン症候群(21トリソミー)の赤ちゃんについて
赤ちゃんがダウン症候群である可能性が高い場合、当院では周産期センター、小児科医、行政と連携して対応しています。
今回は、ダウン症候群の赤ちゃんとそのご家族をサポートする、連携システムについて説明します。
ダウン症候群とは
ヒトの染色体は通常、22組(1組2本)44本の常染色体と1組2本の性染色体(男子はXY、女子はXX)の合計23組46本で成り立っています。
そのうち、21番目の常染色体が3本になっている染色体異常(トリソミーといいます)を21トリソミーといい、別名ダウン症候群といいます。
母体の加齢に伴い、胎児の染色体異常の発生率は高くなります。ダウン症候群の発生率は、25~29歳で1/1100であるのに対して、35歳では1/385,40歳では1/100、45歳以上で1/25と、急激に上昇します。
ダウン症候群の診断
多くのダウン症候群の赤ちゃんの場合、筋緊張の低下、哺乳力の不良、お顔の表情、頚部の過剰な皮膚などの所見から診断します。
ただし、確定診断には新生児の染色体検査が必要になります。
当院では、退院後に国立成育医療研究センター、国立東京医療センターなどに紹介し、精査して頂くようにしていますが、通常受診までに数週間程要します。
ダウン症候群の合併症
ダウン症候群には先天性心疾患や消化管閉鎖・狭搾などの合併症が多いことが知られています。
妊娠中の胎児超音波検査で明らかな異常が認められた場合は、その時点で高次施設へ紹介しますが、出生後に合併症が見られることもあります。
入院中、活気・筋緊張の様子、哺乳の状況、嘔吐や排便の有無と程度、心雑音など聴診上の異常の有無などに注意して経過観察しています。
また、入院中のすべての新生児は、近隣の永井小児科内科の院長先生に診察して頂いていますが、必要に応じて精査して頂いています。
もし、入院中に合併症が疑われた場合は、国立成育医療研究センターなどの高次施設へ紹介致します。
お母さんはじめ、ご家族に対するサポートも必要であり、当院では保健所などの行政とも情報を共有するようにしています。
また、母乳のトラブルも増える可能性がありますが、当院の母乳外来で対応させて頂いております。
育児中、辛い事もあるかと思いますが、地域のさまざまな職種の専門家がサポートしますので、是非ご相談下さい。