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院長コラム

もしも妊娠中に「水ぼうそう」にかかったら

水ぼうそう(水痘)は水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)による初感染で発症します。初感染の後、VZVは神経細胞などに潜伏し、過労、ストレス、加齢などにより免疫が低下すると再度活性化し、神経痛や水疱などの症状をきたします。これを帯状疱疹といいます。
わが国の水痘抗体保有率は約90%といわれていますが、最近低下傾向にあるといわれており、抗体を持たない妊婦さんが増えています。
今回は、妊婦さんが水痘にかかってしまった場合の胎児に与える影響や治療法などについて説明します。

 

 

水痘の症状

潜伏期間は10~21日で、軽い発熱や頭痛などの前駆症状がみられます、その後、体幹に症紅斑が出現し、水疱や丘疹に変化します。また、頭部、口腔粘膜、外陰部にも発疹がみられますが、四肢の末梢ほど皮疹は少なくなります。そして、7~10日で全ての皮疹が痂皮化(乾燥・かさぶた)して終息します。

発疹出現の1~2日前から出現後4~5日、あるいは全ての皮疹が痂皮化するまで感染力を有していますが、特に感染力が強い時期は発疹出現1~2日前から発疹出現当日といわれています。

水痘の合併症として、皮膚の2次性感染症、肺炎、肝機能異常、小脳失調などがあります。妊婦さんは免疫力の低下により重症化しやすく、約5%の妊婦さんが肺炎に罹患するといわれています。

 

 

児に与える影響

① 妊娠初期

妊娠13週までに水痘に罹患した場合は流産になるケースが多く、妊娠13~20週に罹患した場合、児が先天性水痘症候群(低出生体重児、四肢肢低形成、小頭症、皮膚症状、眼症状など)になる可能性があります(1~2%以下)。

 

② 妊娠中期

母親が妊娠14~33週で水痘に罹患すると、胎盤を通してVZVが胎児に移行・潜伏することがあります。その場合、出生後、児は水痘を経験することなく、生後1年までに帯状疱疹に罹患することがあります(2%以下)。

 

③ 出産直前直後

出産直前直後に妊婦さんが水痘に罹患した場合、児は水痘に罹患しますが、分娩前5日から分娩後2日の間に母体が水痘に罹患した場合、母体の抗体は分娩までに作ることができません。つまり、児はウイルスには感染していますが、母体から抗体を受け取ることなく生まれます。そのため、生後5~10日に水痘の症状がみられ、重篤な全身感染症となり予後は極めて悪くなります。

もし、妊娠末期に母体が水痘を罹患してしまった場合は、抗体産生の時間稼ぎのために、6日以上分娩を遅らせることがあります。その場合、保険診療にはなりませんが、点滴で子宮収縮抑制剤を投与することもあります。

 

 

治療法

妊婦さんが水痘に罹患した場合、抗ウイルス薬の内服を開始します。バルトレックスの場合、1回1000mgを1日3回服薬します。抗ウイルス薬は、どの妊娠期においても胎児への悪影響はありませんので、水痘と診断されましたら早めの治療をお勧めします。

 

 

水痘の予防には水痘ワクチンの接種が有効です。接種後の水痘罹患率は6~12%と言われていますが、もし感染しても軽症に経過します。
水痘ワクチンは生ワクチンであるため妊娠中の接種することはできません。また、接種後約2ヵ月は避妊が必要です。
妊娠をお考えの女性で、水痘の既往がない方、水痘ワクチン接種をしたことがない方は、是非妊娠前に内科などで接種しましょう。

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