院長コラム

バルトリン腺のう胞・膿瘍の対応~CO2レーザー開窓術~

バルトリン腺は、膣入口部の両側にある小さな組織で、性交時などに膣を潤す潤滑液を分泌します。
分泌物が排出する管が詰まると、バルトリン腺に粘液が貯留し腫れてきます。これをバルトリン腺のう胞といい、感染が起きて膿瘍を形成したのう胞をバルトリン腺膿瘍といいます。
今回は、バルトリン腺のう胞・膿瘍の当院での基本的な対応について説明します。

 

 

1. 小さく、無症状のバルトリン腺のう胞の場合

およそ直径2cm以下の小さなのう胞で、疼痛や圧痛が認められない場合は、経過観察致します。

軽度な疼痛や外陰部の違和感がある方に対しては、針を刺し内容液を吸引(穿刺・排液)することもあります。

 

 

2. 比較的大きいが、無症状のバルトリン腺のう胞の場合

3~4cm以上で、ほとんど疼痛が無い場合は、後日予定を組んで開窓術(排液のための出口を作る)を行います。

通常、13:00頃ご来院頂き、のう胞の表面皮下に局所麻酔を注射します。
この後、注意深くレーザー(CO2レーザー)を用いて切開し、器具で切開創を広げながら内溶液を排出します。
その後、切開創がくっついて閉じないように、レーザーで皮膚断端を処置します。
少量の出血であればレーザーで止血できますが、必要に応じて吸収糸で止血縫合することもあります。
通常は10~20分程度で終了する外来手術であり、術後異常がなければお帰り頂けます。 

 

 

3. 疼痛が自制内のバルトリン腺膿瘍の場合

感染の急性期の開窓術は術後の再発が高いといわれているため、抗生剤や消炎鎮痛剤を数日服薬した後、開窓術を行います。

 

 

4. 疼痛が激しいバルトリン腺膿瘍の場合

一刻も早く疼痛を抑えたい場合は、対症療法として少し太めの針で穿刺・排膿します。
内溶液を培養検査に提出し、抗生剤・消炎鎮痛剤を数日服薬して頂きます。
もし、再発するようなら後日開窓術を行います。

 

 

5. バルトリン腺膿瘍を繰り返す場合

複数回バルトリン腺膿瘍を繰り返す場合は、バルトリン腺自体を摘出する手術を検討します。
その場合、数日の入院が必要になるため、東京医療センター、関東中央病院、日産玉川病院などへ紹介致します。

 

 

疼痛が強いバルトリン腺膿瘍は、日常生活に支障が出るほど辛い疾患です。
そのため、膿瘍を形成する前、のう胞が増大してきた段階で開窓術を行うことがいいでしょう。
バルトリン腺膿瘍の方に対しては、できるだけ早く手術ができように調整して参ります。