院長コラム

「老人の日」に考えるロコモティブシンドローム

以前「敬老の日」であった9月15日は、現在「老人の日」となっています(ちなみに現在「敬老の日」は9月第3月曜日です)。
国民の間に広く老人の福祉についての関心と理解を深めるとともに、老人に対し自らの生活の向上に努める意欲を促す日として、2003年に制定されたようです。
9月15日から9月21日まで、「老人週間」として、全国各地で、長寿・健康に関する様々なイベントが開かれるかと思われます。
今回は、高齢者の健康維持に影響を及ぼす運動機能の障害、「ロコモティブシンドローム」についてお話します。

 

 

「ロコモティブシンドローム(以下、ロコモ)」とは

ロコモの定義は、「運動器の障害のための移動機能の低下をきたした状態」とされています。つまりロコモとは、加齢や運動器疾患に伴い運動機能が低下し、立ち座り動作、歩行、階段の昇り降りなどの体の移動がうまくできなくなってしまった状態を言います。

実は、介護が必要になってしまった主な原因のトップ5は、脳血管障害、認知症、高齢による衰弱、骨折・転倒、関節疾患であり、ロコモと関連が深い骨折・転倒は、要支援・要介護要因の約12%を占めており、QOL(生活の質)を低下させる大きな原因の一つであると言われています。

 

 

骨粗鬆症とロコモ

ロコモの主因である骨折を予防することは健康寿命を延ばすことにつながります。その骨折の原因として骨粗鬆症がとても重大であるため、いかに骨粗鬆症を予防するか、あるいは早めに治療するかが、とても大切なテーマになります。

 

 

ロコモ対策

運動機能の向上と骨粗鬆症などの運動器疾患の予防と改善のため、➀運動習慣、②適切な栄養摂取、③活動的な生活、の3点がロコモ対策の中心になります。

特に、骨折の直接原因となる転倒を予防するためには、スクワットや片脚立ちなど、下肢の筋力やバランスを強化する運動が効果的と言われており、このような運動を生活の中に習慣として取り入れることがとても大切です。

女性の場合、骨量の増加は20歳頃ピークをむかえるため、10代の成長期こそが骨粗鬆症予防、ひいては老年期のロコモ予防の起点になるといっても過言ではありません。

 

 

特に10代、20代の女性に伝えたい事は、50年後、60年後の自分が健康に過ごすためには、今の生活習慣がとても大事である、ということです。
そして、全ての女性が「老人週間」を一つのきっかけに、現在のライフスタイルを見直して頂ければ、と願っています。

              “後悔先に立たず”