院長コラム

尖圭コンジローマの切除および炭酸ガスレーザー蒸散術

尖圭コンジローマは、性的接触にて感染したヒトパピローマウイルス(HPV)6型、11型によって引き起こされる乳頭状の疣です。
潜伏期間は通常2~3ヶ月ですが、症状がなく潜伏感染状態になることもあります。
女性の場合、小陰唇、大陰唇、会陰部、肛門周囲といった外陰部周辺だけでなく、腟壁、子宮頚部に認められることがあります。
今回は、当院における尖圭コンジローマ治療について説明します。

 

 

初感染の場合

尖圭コンジローマは、ある程度肉眼的に診断することが可能ですが、他の疾患との鑑別が困難な場合もあります。
そのため当院では、初感染の場合は原則として疣を切除し、病理学的検査に提出しています。

その後、切除した部位を炭酸ガスレーザーにて蒸散することで、できるだけ再発を防ぐようにしますが、小さい疣の場合には、切除せずに蒸散のみ行うことがあります。

 

 

再発の場合

ある程度の大きさの疣の場合は外科的に切除しますが、小さい疣が少数の場合は炭酸ガスレーザーによる蒸散をします。

小さい疣でも、多数あるいは広範囲に認められる場合には、イミキモド5%クリーム(ベセルナクリーム)を用いて根気強く治療します。

 

 

当院での切除+炭酸ガスレーザー蒸散方法

外来診療にて,尖圭コンジローマの切除および炭酸ガスレーザー蒸散が必要と判断した場合、手術枠を予約します。
手術当日は、通常13時に御来院頂き、以下に示した処置を行います。

① 皮膚表層の麻酔のため、キシロカインゼリーを患部に塗布します。

② 約15~20分後、疣の根元に局所麻酔を注射します。

③ 痛みがほとんどないことを確認し、疣を切除します。

④ 出血が見られるときにはガーゼで圧迫止血します。

⑤ 再発防止のため炭酸ガスレーザーにて患部を焼灼します。

⑥ 蒸散部に異常がないことを確認し、感染予防のためゲンタシン軟膏を塗布して終了です。

 

 

薬物療法あるいは外科的療法の単独では、尖圭コンジローマが完治しないこともあるため、二つの治療法を組み合わせることが必要となるケースもあります。
また、治癒後3ヶ月以内で再発することもあるため、しばらくは経過観察しますが、難治性の場合あるいは何度も繰り返し再発する場合は、高次施設へ紹介することがある旨、ご了承下さい。