院長コラム

本日は“大暑”。これからも熱中症や血栓症に御用心。

本日7月23日は二十四節気の大暑で、1年のうち最も暑い時期とされています。東京都心の最高気温は38度を越え、今年最高の暑さになったようです。
この時期、皆さんは熱中症に注意されていると思いますが、妊娠初期のつわりの方、授乳中の方、低用量ピル(OC)または低用量エストロゲン・プロゲスチン配合錠(LEP)服薬中の方は、熱中症だけでなく血栓症にも用心しないといけません。

 

 

(1) つわりの妊婦さんは水分摂取ができなければ点滴を

妊娠すると女性ホルモンの影響により血液が固まりやすくなります。特に、つわりの時期は水分摂取が少なくなるため、血液がドロドロになり血管が詰まりやすくなります。更に猛暑で脱水状態が続けば、いつ血栓症が発症してもおかしくありません。

通常、つわりに対する点滴治療のタイミングとして、代謝異常の指標になる「尿中ケトン体」を参考にすることが多いですが、暑い季節の場合、口からの水分補給が困難であれば、たとえ尿中ケトン体が陰性であったとしても、積極的に点滴で補液しましょう。

 

 

(2)授乳中はこまめに水分摂取を

分娩後12週までの産褥期は、女性の生涯の中で最も血栓症になりやすい時期です。特に、母乳育児を積極的にされている授乳婦さんは水分が母乳に取られるため、より血栓症のリスクが高まりまる可能性があります。

さらに、乳腺炎などで体温が上がると、発汗による水分喪失はかなり多くなってしまい、血液がドロドロになります。

喉が渇く前にこまめな水分摂取を心がけ、乳房痛や熱感が強くなりましたら、早めに母乳外来をご予約下さい。

 

 

(3)OC・LEP服用して3ヶ月以内は特に注意

OC・LEPの服用が血栓症のリスクを上げることは知られていますが、その影響は妊婦さんや褥婦さんに比べてはるかに少なく、健康の方であればそれほど心配はいりません。

ただし、通常でも服用3ヶ月までは血栓症に注意が必要な時期ですが、この暑い季節からOC・LEPを服薬し始めた方は、積極的に水分補給を心がけましょう。

特に高校生、大学生のアスリートの皆さん、猛暑の中の夏合宿では、水分喪失はかなりの量になります。血栓症予防のためにも頻回に十分な水分を摂取できるよう、指導者の方々とご相談下さい。

 

 

○ 突然の足(ふくらはぎ)の痛み・腫れ
○ 手足の脱力・麻痺
○ 突然の息切れ・激しい胸痛、腹痛
○ 激しい頭痛、舌のもつれ・しゃべりにくい(呂律が回らない)
○ 突然の視力障害(視野が狭くなるなど)

 

この様な症状がありましたら血栓症になってしまった可能性がありますので、すぐに救急医療機関を受診して下さい。
今後益々暑い日が続くと思われます。
こまめな水分摂取で熱中症・血栓症を防ぎましょう。