院長コラム
更年期女性の精神症状と漢方薬
7月1日は「こころの日」だそうです。
女性の場合、女性ホルモンの変化に応じて様々な精神症状がみられます。特に閉経前後の更年期は、急激なエストロゲンの低下に伴い、多様な更年期症状に悩まされることが少なくありません。
のぼせ、発汗などの血管運動神経症状に対しては有用なホルモン補充療法(HRT)ですが、精神症状に対しては効果が不良なケースもあります。そのような時に漢方薬を用いると、症状が軽減・消失することがあります。
今回、「産科と婦人科 2020年12月号」(診断と治療社)を参考に、更年期女性の精神症状と漢方薬について説明します。
抑うつ傾向(うつうつ)
- イライラすることはなく、気分が落ち込み、元気がない方
→桂枝加竜骨牡蛎湯(ケイシカリュウコツボレイトウ)
- さらに気分が塞いで、のどが詰まった様に苦しくなる(ヒステリー球)の方
→半夏厚朴湯(ハンゲコウボクトウ)
いら立ち傾向(イライラ)
- 強いのぼせ、頑固な便秘がある方
→桃核承気湯(トウカクジョウキトウ)
- 軽いのぼせ、便通が2~3日に1回程度の便秘の方や動悸はないが、他の症状が多い方
→加味逍遙散(カミショウヨウサン)
- 冷えのぼせがあり、軟便の方
→柴胡桂枝乾姜湯(サイコケイシカンキョウトウ)
- 動悸が強く、音・臭い・光などに敏感な方
→柴胡加竜骨牡蠣湯(サイコカリュウコツボレイトウ)
- イライラが主症状で、他の症状は少ない方
→抑肝散(ヨクカンサン)
- イライラが慢性的で、胃腸が弱い方
→抑肝散加陳皮半夏(ヨクカンサンカチンピハンゲ)
不安症傾向(ドキドキ)
- 不安で落ち着かず、すでに安定剤を服用している方
→甘麦大棗湯(カンバクタイソウトウ)
- ドキドキに加えて、抑うつ傾向がある方
→甘麦大棗湯+桂枝加竜骨牡蛎湯
- ドキドキに加えて、めまい・立ちくらみなど自律神経調節障害がある方
→甘麦大棗湯+苓桂朮甘湯(リョウケイジュツカントウ)
実際には“うつうつ”“イライラ”“ドキドキ”が混在していることが少なくありません。
その場合、特に強い症状に対する漢方薬を使用し、症状の改善具合をみながら治療方針を立てていきます。
治療効果がみられない時には、メンタルクリニックへ紹介させて頂くことがある旨、ご了承下さい。