院長コラム

当院は「敷地内全面禁煙(加熱式たばこ含む)」です

令和元年7月1日から、東京都受動喫煙防止条例の一部が施行されました。
当院はこれまでも施設内禁煙でしたが、完全に敷地内全面禁煙とします。
本日は、東京都受動喫煙防止条例について説明します。

 

 

受動喫煙防止対策の目的

受動喫煙とは、副流煙(たばこの先から立ち上る煙)と呼出炎(喫煙者が吐き出す煙)を吸う事であり、肺がんや呼吸器疾患、脳卒中、虚血性心疾患など、様々な疾患と関連することがわかっています。日本では受動喫煙による年間死亡者数は推定約15,000人といわれており、受動喫煙による健康への悪影響を未然に防止する目的で、この度この条例が制定されました。

副流煙はフィルターを通しておらず、燃焼温度も低いため、主流炎(喫煙者が直接吸い込む煙)より、多くの有害物質を含みます。たとえば、ニコチンは2.8倍、タールは3.4倍、一酸化炭素は4.7倍にも達するとのデータもあります。

 

 

妊婦さんの喫煙・受動喫煙が児に与える影響

妊婦さんが喫煙すると早流産・絨毛膜羊膜炎・常位胎盤早期剥離・前置胎盤などの異常妊娠が増加し、児の口唇裂・口蓋裂・先天性心疾患・手足の欠損・腹壁破裂・発育不全など、多くの悪影響を及ぼします。

本人が喫煙せず受動喫煙の場合であっても、児が出生後、乳幼児突然死症候群の頻度が4倍以上も増加することが明らかになっています。

また、小児の受動喫煙は、乳児期での死亡・呼吸器感染症・小児喘息・発達異常・高血圧・糖尿病を増加させると報告されています。

 

 

病院・診療所の規則内容

今回の条例では、以下のように通達されています。

・ 屋内に喫煙場所を作ることはできない。
・ 屋外に喫煙場所を作る場合、特定屋外喫煙場所の要件を満たさなければならない。
        
当院では屋外に喫煙場所を作ることはないため、屋内および屋外ともに喫煙することはできません。

 

 

管理者の責務

・ 喫煙器具・設備の撤去

喫煙してはいけない場所に、喫煙するための器具や設備を設置してはならない。
        
・喫煙者への喫煙の中止などの依頼

 喫煙してはいけない場所で喫煙をしている(または喫煙しようとしている)者に対して、喫煙の中止またはその場所からの退出を求めるよう努めなければならない。
        
以上の通達を受け、当院には敷地内に灰皿になるものは置いていません。
屋内(トイレなど)や屋外(テラス)などで喫煙している方には喫煙の中止を求め、当院の敷地内から退去して頂きます。

 

 

 条例の対象となるたばこの種類

通常の紙巻たばこ、葉巻、パイプ、刻みたばこの他、加熱式たばこも対象になっています。

加熱式たばこは呼出煙が見えづらく、臭いも少ないですが、従来のたばこと同様に有害性分が多く存在しており、周囲に撒き散らしています。受動喫煙の害を考えると、加熱式たばこも決して安全ではありません。

 

 

今まで、外来および入院中の妊産褥婦さんが、当院の敷地内でたばこを吸う事はありませんでしたが、ご主人やお父様などご家族の方やご友人の方が、外来待ち時間の間やお産前後などに、テラスで喫煙されていた事はありました。
今後はいかなる場合も、当院敷地内での喫煙はできなくなる旨、ご理解、ご協力の程、何卒宜しくお願い申し上げます。