院長コラム
妊娠がわかったらカップルで禁煙を
妊娠中の喫煙は妊娠・出産・赤ちゃんの健康に悪影響を及ぼすことは知られていますが、受動喫煙でも影響を及ぼすことが知られています。
今回は、「産婦人科診療ガイドライン産科編2020」を参考に、妊婦さんおよびパートナーの喫煙による悪影響について説明します。
妊婦さんへの影響
- 流産:妊娠22週未満の分娩です。
- 頸管無力症:流早産の原因となります。
- 切迫早産、妊娠37週未満の前期破水:早産の可能性があります。
- 妊娠33週未満の早産:赤ちゃんが未熟なため多くの異常をきたす可能性があります。
- 絨毛膜用膜炎:流早産や胎児感染などの原因となります。
- 常位胎盤早期剥離:妊娠中に胎盤が剥がれ、母児の命に影響を及ぼします。
- 前置胎盤:大出血の原因となります。
- 妊娠高血圧症候群:適切に管理されないと、母児の命に影響を及ぼします。
胎児への影響
- 口唇裂および口蓋裂
- 先天性心疾患
- 手足の欠損
- 腹壁破裂
- 胎児発育不全
- 死産
小児への影響(出生後の受動喫煙を含む)
- 乳児突然死症候群
- 呼吸器感染症
- 中耳炎
- 小児喘息
- 発達異常(行動異常、注意欠陥多動性障害、うつ、学習障害)
- 肥満
- 高血圧
- 糖尿病
喫煙および受動喫煙には、上記のような多岐にわたる悪影響があります。喫煙している方は妊娠判明後、速やかに禁煙しましょう。できればパートナーの方も一緒に禁煙することを強くお勧めします。
禁煙補助薬である「チャンピックス」は妊娠中でも禁忌ではないので、どうしても禁煙できない方は「禁煙外来」にご相談下さい。
なお、非燃焼・加熱式タバコ、電子タバコも多数の有害物質が含まれており、受動喫煙でも健康に悪影響を及ぼす可能性が報告されています。是非、吸わないようにしましょう。