院長コラム
若年女性におススメの避妊法は?
予期しない妊娠を防ぐには、性交しないことが唯一確実な方法ですが、性交するのであれば、できるだけ妊娠率が低い避妊法を行うことが必要です。
ただし、年齢や体質、健康状態によっては使えない避妊法があるため、注意しなければなりません。
今回は、特に若年女性にお勧めしたい避妊法について説明します。
コンドームは手軽だが、使用に注意が必要
日本で最も使用されている避妊法は、男性用コンドームです。コンドームは入手しやすく安価であることから、手軽に使用できる避妊法です。しかも、完全ではないものの、唯一の性感染症予防法(ワクチン接種を除く)でもあるため、特に若年女性が性交する際にはコンドームは必需品です。さらに、適切に使用すれば、約98%の避妊率が期待できます。
その一方で、コンドームの使用は男性自ら行う避妊法であるため、女性が主体的に取り組むことは難しい方法です。さらに、膣内にコンドームが残ってしまう事や、途中で破れてしまう事もあり、一般的な使用による妊娠率は15~20%にのぼるとのデータもあります。
経口避妊薬(OC)は避妊効果高いが、服用できない方も
若年女性にお勧めしたい避妊法はOCです。飲み忘れをしない理想的な使用であれば、ほぼ100%の避妊が期待できます。また、月経困難症で悩んでいる方は、OCと同じ成分・効能である低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(LEP)を保険診療で服用することができ、月経前症候群(PMS)の緩和も期待できます。しかも、女性が主体的に取り組める方法であり、もっと多くの女性に広まって欲しい避妊法です。
ただし、飲み忘れしてしまうことも少なくなく、一般的なOC・LEP使用では、避妊効果が約90%に落ち込んでしまうため注意が必要です。また、避妊のみの目的で服用するOCは、自由診療として毎月数千円かかってしまいます。更に、OC・LEPにはわずかながらも血栓症などの副作用があり、前兆を伴う片頭痛持ちの方は血栓症のリスクがそもそも高いため、OC・LEPを服用することはできません。そして、残念ながらOC・LEPでは性感染症を予防することはできません。
最終手段は“膣外射精”+“緊急避妊法”
万が一、女性がOC・LEPを服用しておらず、男性が適切にコンドームを装着しないで性交してしまった場合は、せめてパートナーに、射精前にペニスを抜いて膣外で射精してもらいましょう。
その上で、性交から72時間以内に婦人科を受診し、緊急避妊薬を服用することをお勧めします。
今回、特に若年女性にお勧めしたい避妊法は、女性の確実なOC・LEP服用と男性の適切なコンドーム使用です。
そして、いざという時の緊急避妊法です。
ただし、100%確実で安全な避妊法は存在しない事を知って、妊娠を希望しないのなら性交しない、もし性交するのであれば特定のパートナーと適切な避妊法をした上で行うようにしましょう。