院長コラム
東邦大学医療センター大橋病院との病診連携
当院は以前から、田園都市線の池尻大橋にあります東邦大学医療センター大橋病院の「地域医療連携協力機関」に登録しております。先日、医療連携の会が開かれ、諸先生方と意見交換をして参りました。
今回は、東邦大学医療センター大橋病院(以下大橋病院と表記)の婦人科および泌尿器科との連携につきまして、ご紹介致します。
婦人科との連携
大橋病院では、数年前から分娩の取り扱いを中止しておりますが、その分、手術を中心とした婦人科疾患の治療に力を入れています。
昨年准教授になられた田中京子先生は、慶応義塾大学産婦人科学教室の出身であり、特に手術の腕には定評のある先生です。
田中先生が慶応義塾大学病院でご勤務されていた時から特に力を入れていらっしゃるのが、子宮頚がんに対する子宮(妊孕性)温存治療です。
子宮頚がんは30~40歳代の比較的若い女性に好発し、最近は増加傾向にあります。また、女性の晩婚化、妊娠・出産年齢の高齢化などにより、子宮温存をご希望される方も増えています。
子宮温存手術については、主に子宮頚部前がん病変(高度異形成・上皮内がん)に対して行う子宮頚部円錐切除術と、微小浸潤がんに対して行う広汎性子宮頚部摘出術の二種類があります。
特に広汎性子宮頚部摘出術は、高度な技術と経験が必要であるため、実施している施設は限られますが、田中先生を初めとする大橋病院婦人科の先生方は積極的に取り組んでいらっしゃいます。
今のところ、当院からは良性の婦人科腫瘍の患者さんをお願いすることが多く、広汎性子宮頚部摘出術の適応となる患者さんは紹介していませんが、今後は子宮脱が主体の骨盤臓器脱などの紹介を考えています。
泌尿器科との連携
大橋病院泌尿器科の特徴は、毎週火曜日に女性医師による「女性泌尿器外来」の枠があることです。当院から泌尿器系の疾患で高次施設に紹介する際、患者さんは全員女性であるので、女性医師が担当される外来に紹介する
傾向にあります。
当院では骨盤臓器脱に対して、ペッサリーやサポーターで対処することがほとんどですが、必ずしも全例が有効であるとは限りません。ペッサリーが膣壁を刺激するため、出血や帯下が増量する方、膀胱瘤や排尿障害を伴う方などに対しては、手術療法も考慮し「女性泌尿器外来」へ紹介させて頂く事も多いです。
紹介の具体的な流れ
当院から大橋病院へ紹介する方法としては3つあります。
一つ目は、当院から大橋病院病診連携室へ診療予約申込書をFAXして予約をお取りする方法です。予約が取れれば、その場で紹介状をお渡しします。
二つ目は、患者さんご自身が予約センターへお電話し、予約をお取りする方法です。その場合、あらかじめ紹介状はお渡し致します。
三つ目は、紹介状をお持ちの上、予約なしに直接初診外来にご来院する方法です。予約するのが困難な場合、ご本人のご都合に合わせて受診できますが、待ち時間が長くなるかもしれません。
平成30年に新しい病棟に移転し、地域医療の拠点病院として、ますます重要な役割を担う大橋病院。
これからも婦人科、泌尿器科はもちろん、他の診療科とも、積極的に連携を充実させていきたいと考えています。