院長コラム

授乳中、月経はいつ再開するの?

授乳中、月経がいつ再開するのか?授乳中でも避妊の必要はあるのか?など、疑問に思われている方も多いと思います。
今回は授乳と月経についてお話します。

 

授乳中の重要ホルモン:プロラクチン(PRL)

授乳中、脳にある下垂体という臓器からプロラクチン(PRL)というホルモンが分泌されます。

PRLは乳腺に働きかけて母乳を作る作用とともに、卵巣の働きを抑えて排卵させないようにする働きがあります。

 

授乳婦の80%が産後8ヶ月で月経再開

一般に授乳しない方に比べて、授乳している方は排卵、月経の開始は遅くなります。

非授乳婦では血中PRL値が産褥3週までに急速に低下し、卵巣機能が回復し、排卵・月経が早期から認められます。

一方、授乳婦は、血中PRL値の減少が穏やかで、産後6週まで高PRL血症が持続します。産後10週になると血中PRL値は非授乳婦と同レベルになり、授乳回数が減少することもあって卵巣機能が回復します。そのため、2~3か月経過すると排卵・月経が見られることが多いと言われています。

ただし、授乳頻度、授乳時間、離乳食の割合などでPRL分泌は異なるため、授乳婦さんでも排卵・月経再開時期は個人差が大きいようです。

一般には産後8か月では70-80%の方に月経発来を認めますが、完全母乳哺育で、卒乳まで授乳し続けると産後1年以上無月経が続くこともあります。

 

授乳中の避妊方法

授乳中の月経の場合、多くは無排卵性周期ですが、月経発来とともに排卵する可能性や月経発来前に排卵する場合あるため、妊娠を望まない場合、遅くとも産後10週以降には、避妊を考えましょう。

授乳中の避妊方法としては、最も手軽な方法はコンドームですが、男性主体の避妊法であり、正しく使用することが難しいため、実際の避妊失敗率は約15%と言われています。

一般に信頼性の高い避妊方法は、低用量ピル(OC)、子宮内避妊用具(銅付加IUD)、子宮内避妊システム(IUS)の3種類です。

OCは通常最も用いられている避妊法ですが、授乳中に服用すると、母乳の分泌量が減少し、母乳を介して赤ちゃんにホルモンが移行する可能性もあるため、当院では完全母乳中の避妊方法としてはあまりお勧めしていません。

最も避妊率が高い避妊法はIUSで、高濃度黄体ホルモンが持続的に放出なせることで避妊効果を発揮します。5年間有効であり、抜去すれば妊娠は可能です。また、もともと月経困難症や過多月経であった方は保険にて対応可能です。

 

 

授乳中、無月経でも排卵することがあるため避妊には十分注意しましょう。
また、卒乳しても月経が再開しない方は是非受診して頂き、ホルモン検査で卵巣機能を調べてみましょう。