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院長コラム

思春期女性の月経困難症と月経周期変更

通常、月経周期変更には中用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(中容量ピル)が用いられますが、嘔気などの副作用が比較的強く、思春期女性には使用しづらい印象があります。
そのため、月経開始間もない思春期女性の場合は、低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(OC・LEP)を使用することがあります。しかも、LEPは月経困難症の方には保険が適応になります。
今回は、思春期女性の月経困難症と月経周期変更について、「OC・LEPガイドライン2020年度版」などを参考にお伝えします。

 

LEPは初経から服用可能

添付文書では、骨成長が終了していない可能性がある患者に対して、LEPは禁忌となっています。
女性の場合、初経を迎えるとエストロゲンが急激に増加し、骨端線という骨成長に重要な部分が閉鎖します。初経前の女性がLEPを服用すると、骨端線閉鎖をきたすことが知られているため、LEPは初経前の女性には使用できません。
逆に言えば、初経以降であれば使用が可能です。月経困難症に対して使用するのであれば、当然ご年齢によらず、骨成長を気にせず使用することができます。
ちなみに、骨端線閉鎖が始まっても、すぐに骨成長が止まるわけではなく、その後数年は伸び続けます。初経時身長が低めの方であっても、LEPにより身長が止まることはありません。

 

LEP服用により骨密度の増加が少なくなる可能性

いくつかの研究によると、思春期女性がOC・LEPを服用していると、服用していない女性と比べて、骨密度の増加が少なくなるとのことです。
外からエストロゲンを取り入れることで、自分自身が分泌するエストロゲンが低下してしまうことが、その原因といわれています。
ただし、骨密度増加の差に臨床的な意義があるかどうかは不明であり、実際に思春期にOC・LEPの投与によって将来の骨折リスクが増えたとの報告はないそうです。

 

LEPから黄体ホルモン製剤への切り替え

当院では、月経困難症のために月経周期を変更したい思春期女性に対しては、まずLEPを用いています。
調子が良ければそのまま継続しますが、14歳未満の女性で、骨密度への影響が不安な方には、黄体ホルモン製剤であるディナゲスト錠0.5㎎への切り替えを検討します。
ディナゲスト錠0.5㎎は月経困難症に対して保険適応があり、骨成長や骨密度には影響を及ぼしません。ただし、1日2回服用する必要があり、不正出血の頻度が高く、月経周期変更にはあまり適しません。

 

月経困難症に対しては、他にも鎮痛剤による対処療法や漢方療法などがあります。
月経周期変更については、その必要性をよく考える必要があります。
その上で、薬物療法のメリットとリスクを検討し、治療法を決めることが大切です。

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