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院長コラム

思春期の月経随伴症状 ~月経困難症と月経前症候群~

月経随伴症状とは、月経前や月経中の不快な症状の総称であり、月経前症候群と月経困難症を合わせた概念です。
思春期にみられる月経随伴症状への対策は、性成熟期女性への対応と異なるところがあります。
今回は、「産科と婦人科 2018年12月号」「産科婦人科用語集・用語解説集 改定第3版」などを基に、思春期の月経随伴症状に対する対応について説明します。

 

 

思春期の月経困難症

月経期間中に月経に随伴しておこる病的症状を月経困難症といい、下腹部痛、腰痛、腹部膨満感、嘔気、頭痛、疲労・脱力感、食欲不振、いらいら、下痢、憂うつなどの症状がみられます。

月経困難症には機能性(子宮の過収縮)と器質性(子宮内膜症、子宮腺筋症、子宮筋腫などの器質的疾患に伴うもの)の二種類ありますが、思春期の月経困難症は機能性が多いといわれています。

子宮の収縮には、子宮内膜から産生されるプロスタグランディン(PG)という痛み物質が関与しており、PGが多いと子宮収縮が強くなり、月経痛をきたします。また、若年者は子宮の出口である子宮頚管が比較的狭く、経血を狭い出口から出そうとするために子宮収縮が強くなることも、月経痛の原因の一つです。

 

 

思春期の月経前症候群

月経前3~10日の間続く精神的あるいは身体的症状で、月経の発来とともに減退・消失するものを月経前症候群(PMS)といいます。いらいら、のぼせ、下腹部膨満感、下腹部痛、腰痛、頭重感、頭痛、おこりっぽい、乳房痛、落ち着かない、憂うつといった症状を認めます。

PMSは40歳代以上に多いとされていますが、高校生の約12%がPMSやPMDD (PMSの重症型:月経前不快気分障害)を理由に学校を欠席しているとの報告もあり、思春期のPMSへの対応は非常に大切です。

 

 

思春期の月経随伴症状に対する治療

下腹部痛・腰痛、頭痛、乳房痛などの疼痛に対しては、痛みの原因物質であるPGの産生を抑える鎮痛剤(ロキソニン、ボルタレンなど)を処方します。子宮や腸管の収縮に伴う周期的な下腹部痛に対しては、筋肉の過緊張を抑える鎮痙剤(ブスコパンなど)や漢方薬(当帰芍薬散、芍薬甘草湯など)を併用することもあります。また、排卵期前後や月経開始日前後のエストロゲン(卵胞から分泌される女性ホルモン)減少に伴う片頭痛に対しては、片頭痛薬(アマージなど)を使用することがあります。

月経前後の抑うつに対しては、成人女性ではSSRI(レクサプロなど)といった抗うつ薬を使うことも少なくありませんが、思春期女性に対しては副作用の点を考慮し、当院では使用していません。精神症状が軽度から中等度であれば、加味逍遥散、加味帰脾湯、香蘇散、抑肝散などの漢方薬を処方し、症状が重度であればメンタルクリニックをご紹介します。

月経困難症とPMSのどちらもみられる場合や、前出の薬物療法ではあまり症状に改善がみられない場合は、低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(LEP製剤)を使用します。当院では、連続投与により月経を起こさせないLEP製剤(ヤーズフレックスなど)を第一選択として処方しています。尚、初経後の服用であれば思春期女性でも服用可能であり、低用量経口避妊薬と同じ成分ですので、予期しない妊娠の予防にもなります。また、子宮内膜症という不妊症の原因となる疾患の予防効果も期待できるため、思春期の月経随伴症状に対し、当院では積極的にお勧めしています。

 

 

思春期はエストロゲンが急上昇し、女性としての基礎が出来上がる大切な時期ですが、月経に伴う様々な不調は、日常生活や学校生活に大きな悪影響を与えます。
思春期の女性が産婦人科を訪れることは非常にハードルが高いと思いますが、月経随伴症状などでお悩みの方は、是非お気軽に婦人科を受診して下さい。

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