院長コラム

当院における挙児希望の方への対応

当院は不妊症専門施設ではないため、積極的に不妊検査や治療はしていません。
ただし、排卵の時期を推定し、夫婦生活のタイミングをアドバイスする「タイミング指導」は行なっております。
今回は、当院における挙児希望の方の診察の流れについて説明します。

 

 

初診時

月経の状態や排卵の有無を問診や基礎体温票で確認します。もし、基礎体温表をお付けになっていなければ、最低1か月間は記録して頂きます。

内診・経腟超音波検査で子宮・卵巣に異常がないか確認します。子宮内膜を圧迫するような子宮筋腫や子宮内膜症性卵巣嚢腫が見られた場合は、不妊専門施設へ紹介します。

超音波検査で明らかな異常がない場合、女性ホルモン関連や甲状腺ホルモン関連の血液検査を行ないます。

尚、原則として初診は保険診療で対応しています。

 

 

再診時

2回目の診察は、過去の基礎体温表から推定した排卵日直前の時期にいらして頂きます。

初診時の血液検査で甲状腺疾患が疑われた場合は、近隣の内分泌専門医のクリニックへ紹介します。

経腟超音波検査で子宮内膜の厚さと発育卵胞の大きさを確認します。卵胞が18~20mm以上に発育している場合、尿中LH検査(クリアプラン)を行ないます。クリアプラン陽性の場合は排卵直前と考えられるため、同日からの夫婦生活をアドバイスします。尚、タイミング指導行なった外来は自費診療となり、約6,200円(税込)となります。

もし、卵胞が未熟あるいはクリアプランが陰性の場合は、改めて排卵日を想定し、再度いらして頂きます。タイミング指導がない外来は約3,400円(税込)となります。

卵胞は18~20mm以上で、クリアプランが陰性の場合は、排卵を促すためhCG10,000単位の筋肉注射を行い、タイミング指導することもあります。その場合は約7,700円(税込)となります。

 

 

無月経・排卵遅延がある場合

多嚢胞卵巣症候群など無月経や排卵遅延の方に対しては、月経(あるいはホルモン剤を投与して認められた人工的な出血)の5日目から、クロミッドという排卵誘発剤を1日1錠5日間服用して卵胞を発育させることがあります。1錠で効果が不良なら1日2錠まで増量します。

服薬終了から数日後、卵胞発育を確認し、成熟している卵胞が1つだけであれば、hCG10,000単位を筋肉注射し、タイミング指導を行ないます。ただし、成熟している卵胞が複数個認められた場合は、多胎妊娠を誘発してしまう可能性があるため、その周期はタイミング指導せずに見送りとなります。

尚、クロミッド服用後、タイミング指導を行なった場合は自費診療、タイミング指導を行なわなかった場合は保険診療となります。

 

 

当院では、通常タイミング指導を4回行なっても妊娠に至らない場合は、近隣の不妊専門施設へ紹介しております。
また、38歳以降の挙児希望の方や、1年以上自然の状態では妊娠に至らなかった方は、初めから不妊専門施設を受診されることをお勧めします。
ご結婚後1年未満の方や、まずはタイミング指導をご希望される方は、基礎体温表を1か月以上記録された後、ご来院下さい。