院長コラム

妊婦さんの花粉症対策

2月も中旬に入り、花粉症に悩まされる季節がやってきました。
日本人の4人に1人は花粉症といわれており、妊婦さんの中にもかなり多くの方がいらっしゃると思います。
今回は、花粉症に対する一般的な注意と妊婦さんが使用できる薬剤について説明します。

妊婦さんは花粉症が増悪しやすい?

花粉症はアレルギー性鼻炎の一種で、スギやヒノキなどの花粉によるアレルギー反応です。このアレルギー反応には、ある種の免疫反応が関係しています。
妊娠すると、この免疫反応が亢進し、アレルギー反応も増強するため、くしゃみ・鼻汁・鼻閉感・眼の痒みなどの花粉症の症状が増悪します。

花粉症の予防は?

妊娠12週頃までの妊娠初期は、胎児のさまざまな器官が作られている時期ですので、薬物療法はなるべく控えるようにします。
従って、予防が重要になります。花粉情報に注意し、飛散が多い時はできるだけ外出を控え、窓や戸を閉めましょう。
外出する時はマスクを着用し、帰宅したら衣服に付着した花粉を払い、洗顔・うがいを励行しましょう。もちろん、ご家族の協力も必要です。

 

妊娠初期(妊娠12週頃まで)の薬物療法

妊娠初期で薬物療法が必要な時は、点眼薬や点鼻薬といった局所療法から行います。当院では「インタール点眼薬・点鼻薬」「ザジテン点眼薬・点鼻薬」を処方することが多いです。

それでも軽快しないときには、漢方薬の「小青竜湯」を処方します。もちろん絶対に胎児へ影響がないとはいえませんが、胎児奇形や流産を増加させるといった報告はなく、使用経験も豊富な薬剤で、比較的安心して服用できます。

 

妊娠12週以降の薬物療法

前述の点眼薬・点鼻薬、小青竜湯が基本ですが、一般の方の第一選択となっている抗アレルギー薬を処方することもあります。
特に毎年花粉症の薬(第二世代抗ヒスタミン薬)を服用している方は、妊娠中も同じ薬剤を服用して頂きます。

当院では、胎児にも比較的安全で、眠気などの副作用が少ない「ザイザル」「クラリチン」「アレグラ」「アレジオン」「アレロック」「ジルテック」などを処方することが多いです。
尚、これらの薬剤は、やむを得ず妊娠初期にも服用を許可することがありますが、妊娠や胎児に影響を及ぼすといった報告はありません。

今まで花粉症に縁がなかった方でも、妊娠をきっかけに花粉症になってしまう方もいらっしゃいます。
まずは予防に心がけ、症状が出始めたら我慢せずに、お気軽にご相談下さい。