院長コラム

令和時代の“当院の診療3本柱”

2019年5月1日から元号が令和となり、今後産婦人科医療を取り巻く環境も少しずつ変わっていくと思われます。
今回は、令和になって初めてのコラムとなりますので、当院が目指す「診療3本柱」について、お示ししたいと思います。

 

 

(1)周産期医療

2017年度の全国の合計特殊出生率は1.43、東京都は1.21、世田谷区は1.10でした。この数年、世田谷区ではやや上昇傾向から横ばいとなっており、令和に入ってからは漸増すると考えられています。

このような中、周産期医療は当院の診療3本柱の主軸として考えています。当院は、他の近隣の分娩施設と異なり、完全一人医師体制で、病床数8床と小さい施設であるため、帝王切開、無痛分娩など皆様のニーズに全てお答えすることができず、大変心苦しく思っております。しかし、こじんまりとしている分、皆様とスタッフの距離が近く、私が原則全てのお産に立ち合わせて頂いております。また、近隣の高次施設と顔の見える連携体制を充実させて、母児の安全面にも最大限の注意を払っております。

また、当院では母乳外来にも力を入れています。堤式母乳マッサージ法認定者4名を中心に、当院で分娩された褥婦さんだけでなく、他院でお産された授乳婦さんの母乳トラブルに対応しています。更に、行政・メンタルクリニック・小児科医・NPO法人などとも連携し、お母さんのメンタルヘルスサポートも併せて行なっています。

当院は「助産院」の良さに、ある程度の医療的サポートをプラスした施設です。今後更に、「安心」「安全」で、皆様にご納得頂けるお産を目指して参ります。

 

 

(2)思春期から性成熟期の医療

思春期から性成熟期の女性に対して、「予期せぬ妊娠・性感染症・婦人科疾患の啓発・予防・治療」を行なうことは、地域の産婦人科クリニックとして期待されています。

予期せぬ妊娠を避けるための経口避妊薬の必要性や、性感染症の予防におけるコンドームの重要性など、若い世代にしっかり伝えていかなければならないと考えています。

現在、積極的勧奨がストップしているヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンについても、小学校6年生年齢から高校1年生相当年齢のお嬢さん(世田谷区ではHPVワクチン全額助成)をお持ちの保護者の方、性交未経験の女性、26歳までの女性を中心に、HPVワクチンの重要性について、個々に啓発して参ります

また、月経困難症、月経前症候群、過多月経に一人で悩んでいる方、ダイエットや激しい運動で月経不順になってしまった女性アスリートなど、多くの若い女性が気軽に受診頂けるようなクリニックを作って参ります。

 

 

(3)性成熟期から中高年期の医療

性成熟期から中高年の女性に対して、健康的な人生をサポートすることも、当院の役割の1つです。

特にこの世代の方には、2年に1回の子宮頚がん検査がとても重要です。世田谷区の検診事業や職場の健康診断・主婦検診、人間ドックなどを利用して、70歳頃までは子宮頚がん検査を受けて頂くよう、お声掛けして参ります。

また、更年期の時期からは女性ホルモンであるエストロゲンの減少に伴い、更年期障害、閉経後骨粗鬆症、動脈硬化、認知機能低下など、様々なトラブルに見舞われます。ホルモン剤、漢方薬、骨粗鬆症薬などを用いた薬物療法や、性交痛・外陰部乾燥感・灼熱感といった閉経関連泌尿生殖器症候群に対する外陰腟レーザー治療(モナリザタッチ)など、個々の症状や体質に合わせて、治療あるいは予防をして参ります。

 

 

時代は「平成」から「令和」に変わりましたが、患者様中心の医療の本質は変わりません。
これからも地域の産婦人科医療に貢献できればと考えていますので、引き続き宜しくお願い申し上げます。