院長コラム

「尿漏れ」でお困りではありませんか?

尿漏れには大きく2種類あります。一つは「切迫性尿失禁」といい、我慢できないような強い尿意を急に感じ、トイレに行くまでに間に合わずに漏れてしまうタイプです。
もう一つは「腹圧性尿失禁」といい、女性に一番多いタイプで、咳やくしゃみをした時、重い荷物を持ち上げた時、運動した時など、おなかに力が入った時に尿が漏れてしまうタイプです。
今回は「切迫性尿失禁」について説明します。

 

切迫性尿失禁をきたす「過活動膀胱」とは?

通常、膀胱に溜まった尿が約150~200mlになると、その情報が脳に伝わり、尿を出したいと言う感覚、いわゆる尿意を感じます。ただし、実際に尿を出すまでの一定時間は、膀胱を緩め、尿道を閉めて、尿が出ないように意識的にコントロール、つまり我慢しています。そして、実際に尿を出すときには、膀胱を収縮させ、尿道を緩ませて排尿します。
過活動膀胱とは、膀胱が自分の意志に反して収縮する病気で、

・ 尿意切迫感:突然強い尿意が起こり、我慢するのが難しい状態

・ 切迫性尿失禁:我慢できずに尿漏れ

・ 頻尿:起きている間は8回以上、寝ている間に1回以上トイレに行く

という症状が見られます。
40歳以上の女性の10人に1人が過活動膀胱の症状を経験し、その内の半分の方が切迫性尿失禁を経験していると言われています。

 

過活動膀胱の治療(1)~骨盤底筋体操~

行動療法と薬物療法があります。
行動療法としては、

・ 膀胱訓練:トイレを5分以上我慢し、膀胱に溜められる尿量を増やす

・ 骨盤底筋体操:尿道括約筋などの骨盤底筋を強くする

があります。
骨盤底筋体操は、主に腹圧性尿失禁の治療として行なわれますが、過活動膀胱でも有効なことがあります。

① 仰向けに寝て、両足を肩幅程度に開いて、両膝を軽く立てます。
② 尿道・肛門・膣をきゅっと締めたり、緩めたりし、これを2~3回繰り返します。
③ 次は、ゆっくりぎゅうっと締め、3秒ほど静止します。これを2~3回繰り返し、少しずつ締める時間を延ばしていきます。

1回5分程度から初めて、20分までだんだん増やしていきましょう。
慣れてきたら、生活の中で、例えば家事や仕事の合間やテレビを見ながらなど、習慣化するといいでしょう。

 

過活動膀胱の治療(2)~薬物療法~

薬物療法としては、主に

・ β3作動薬:膀胱が弛緩し容量が拡大
・ 抗コリン剤:膀胱の筋肉へ伝達される収縮の命令をブロックし、
        膀胱収縮を抑制
・ 漢方薬:頻尿などの改善

の3種類があり、当院では「ベタニス」「ステーブラ」「五淋散」「牛車腎気丸」などを処方することが多いです。

 

尿漏れや頻尿は日常生活にも支障きたします。
お一人で悩まずに、お気軽にご相談下さい。