院長コラム

「エクオール」は更年期医療の新たな柱

大豆の中に含まれているイソフラボンという成分は、腸内細菌の働きによって「エクオール」に変化し、エストロゲンという女性ホルモンに似た働きで女性のからだを守ることがわかってきました。
今回は、最近注目を浴びている「エクオール」についてお話します。

 

 

エクオールの作用・効果

エクオールには主に3つの作用があります。一つ目はエストロゲン作用、二つ目は抗エストロゲン作用、3つめは抗酸化作用です。

 

1) エストロゲン作用

エストロゲンが体内で少なくなっている状況では、エクオールはエストロゲンと同様の働きを示します。
つまり、更年期障害・骨粗鬆症の予防や治療、肌の保水力アップ、血行改善による肩こり、腰痛、筋肉痛などの軽減も期待できます。

 

2) 抗エストロゲン作用

子宮内膜組織や乳腺組織に対して、エストロゲンは細胞を増殖させる様に働きます。
しかし、エクオールは、エストロゲンの働きを抑え、子宮内膜組織や乳腺組織の増殖を抑制する働きがあります。
このことは、乳がんや子宮内膜がんの既往がある方でも使用が可能であることを意味します。

 

3) 抗酸化作用

エクオールはフリーラジカルや紫外線などのダメージから組織を防御する働きがあるため、皮膚のしみ・しわ、動脈硬化の予防が期待できます。

 

 

更年期障害に対する効果

ある報告によると、3ヶ月のエクオール摂取で更年期障害が改善し、特に冷え、憂うつ、首・肩こり、背部痛、腰痛に対して、大変有効であったことが分かりました。
他にも、いらいら、不安感、神経質など、精神症状に対する効果も高いといわれています。

 

 

骨粗鬆症に対する効果

閉経後、エストロゲンの減少により、骨密度が低下し骨粗鬆症となり、骨折しやすい状況になります。
あるデータによると、エクオールの1年間の服用で骨密度の減少率を約半分に抑えることができた、とのことです。

 

 

当院でのエクオールの使い方

当院では更年期障害や閉経後骨粗鬆症に対しては、ホルモン補充療法を第1選択として考えています。

しかし、ホルモン療法に抵抗がある方、乳がんや子宮体がんの既往があるためホルモン療法ができない方などに対し、ホルモン療法に変わる代替医療としてお勧めしています。

また、ホルモン補充療法だけでは軽快しない肩こり・腰背部痛の改善目的で併用することもあります。

 

 

当院では「エクオール」をホルモン補充療法や漢方療法とともに更年期医療の柱の一つとして捕らえています。
院内で、大塚製薬の「エクエル」を販売しておりますので、お声かけ下さい。