院長コラム

3か月以上月経がなければ婦人科受診を

正常の月経周期は25~38日とされており、39日以上間が空いてしまった場合を希発月経、これまで来ていた月経が3か月以上来なくなった場合を続発性無月経と言います。
特に、妊娠していないのに続発性無月経となった方の場合、様々なホルモン異常をきたしている可能性があります。
今回、続発性無月経の方に行う主な検査・治療について情報共有致します。

身長・体重
一般的にBMI(体重㎏÷身長m÷身長m)で体格を評価し、18.5未満の“やせ”の方、および25.0以上の“肥満”の方は、続発性無月経のリスクが高くなる可能性があります。
“やせ”の場合、体脂肪が極端に少ないことが、脳から卵巣へのホルモン命令系統のトラブルに繋がり、月経が止まってしまうことがあります。
特に、BMI:17.5未満の方の場合、やせ願望が強く、摂食障害をきたしている方も少なくないため、メンタルクリニックでの診察や、食生活の改善による体重増加が、薬物治療よりも優先されます。
また、アスリート(特に新体操などの審美系・マラソンなどの長距離陸上種目などの持久系)の場合、摂取エネルギーよりも消費エネルギーが多過ぎて、アンバランスになっている可能性があります。監督・コーチなどの指導者と相談し、食生活や練習内容の見直しが必要です。
反対に、肥満の方の場合は体脂肪が多過ぎることが原因で、血糖値を下げるインスリンというホルモンの働きが低下します。これにより、卵巣からアンドロゲンという男性ホルモンが過剰に分泌され、その結果排卵しづらくなり、無排卵・無月経に繋がります。この病態は、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)にみられる事があります。

各種ホルモン検査
E2(卵胞から分泌される女性ホルモン:エストロゲンの一種)、FSH(卵胞刺激ホルモン:脳から卵巣に命令し、卵胞を大きくし、E2の分泌をアップ)、LH(黄体形成ホルモン:脳から卵巣に命令、成熟した卵胞を排卵させる)を検査し、脳から卵巣への命令系統や卵巣機能に異常がないか確認します。
また、排卵を抑制する作用をもつPRL(プロラクチン:脳から分泌し、乳汁の産生・分泌をアップ)、テストステロン(男性ホルモン:PCOSで増加傾向)、甲状腺関連ホルモン(TSH:甲状腺刺激ホルモンで、脳から甲状腺に命令し、甲状腺ホルモン:fT3・fT4の分泌を調節)も検査します。

各種薬物療法
PCOSの方のように、E2は分泌されているものの、無排卵・無月経となっている場合は、人工的に排卵後のホルモン環境を作るため、周期的に黄体ホルモン製剤(デュファストン錠)を使用し、月経様の出血を起こさせます(ホルムストローム療法)。通常、3か月程度行い、その後しばらく休薬し、自然排卵・月経がみられるか確認します。
ホルムストローム療法しても排卵・月経がみられない場合や、そもそもE2が低い場合(閉経でない場合で)は、エストロゲン製剤(プレマリン錠)とエストロゲン・黄体ホルモン配合剤(プラノバール錠)またはデュファストン錠の周期的服用(カウフマン療法)を行う事があります。
また、高プロラクチン血症の場合は、下垂体腺腫・併用薬剤の副作用など原因の有無を調べ、明らかな原因がなければ、PRLを低下させるカバサール錠の週一回の服薬で治療を進めます。
尚、甲状腺機能異常が疑われた場合は、当院の場合、近隣の内分泌内科クリニックへ紹介しています。

思春期・性成熟期女性の続発性無月経は、将来の妊娠や骨量に影響を及ぼす可能性があります。
また、更年期女性の続発性無月経は、閉経の前触れと考えつつも、子宮体がんの予防も念頭に置いた対策も必要です。
続発性無月経となった方は、どの年代であっても、早めに産婦人科を受診されることをお勧めします。