院長コラム

HPVワクチン(子宮頚がん予防ワクチン)の接種をお勧めします

子宮頚がんの原因が、性行為で感染するヒトパピローマウイル(HPV)であることが明らかになり、我が国でも2009年12月からHPVワクチン(子宮頚がん予防ワクチン)の接種が始まりました。
2013年の4月1日からは、小学校6年生から高校1年生相当の女子を対象に定期予防接種となりましたが、その後、接種後の様々な副反応が出現したことで、積極的に勧奨しなくなりました。
今回は、HPVワクチンに関する当院の対応について説明します。

 

 

子宮頚がんの現状

わが国の女性の74人に1人が子宮頚がんにかかり、340人に1人が子宮頚がんで亡くなっています。

特に20~40歳代にかかる方が多いため、子宮頚がんに対する外科的治療(子宮全摘術・子宮頚部円錐切除術など)が、その後の妊娠・出産に影響を与えることになります。

したがって、若年のうちにHPVワクチンの接種をし、子宮頚がんにならないように予防することがとても大切です。

 

 

HPVワクチンとは

HPVは約100種類以上のタイプがありますが、特に子宮頚がんとの関連が強いタイプはハイリスクHPVと呼ばれており、現在約15タイプが確認されております。中でも16型と18型が子宮頚がんの原因の多くを占めています。

現在認可されている「サーバリックス」、「ガーダシル」は共に16型と18型に対して有効なワクチンで、ワクチンが普及すれば約70%の子宮頚癌を予防できると推測されています。ちなみに、「ガーダシル」は性感染症である尖圭コンジローマの予防も可能です。

もちろん、HPVワクチンで完全に子宮頚がんは防げませんので、定期的な子宮頚がん検診は必要です。

 

 

HPVワクチンの重大な副反応とその頻度

・アナフィラキシー(尋麻疹・呼吸困難など): 10万接種に0.1件
・急性散在性脳脊髄炎(発熱・けいれん・運動障害・意識障害など):10万接種に0.04件
・ギラン・バレ症候群(筋緊張の低下を伴う麻痺):10万接種に0.06件
・広範な疼痛または運動障害を中心とした多彩な症状:10万接種に2.0件

頻度はかなり少なく、HPVワクチンとの関連はいまだ解明されていません。

 

 

HPVワクチン接種の推奨年齢

最もワクチン接種が推奨される年齢は、性交する前の10~14歳の女性であり、「サーバリックス」は10歳以上に、「ガーダシル」は9歳以上の女性に接種することができます。今でも、小学校6年生から高校1年生相当の女子は自治体補助の対象となっています。

次に推薦される年齢は15~26歳女性とされています。特に性交未経験の女性では、14歳までの女性と同じく高いワクチン効果が期待できます。

27~45歳の女性に対するワクチンの有効性も認められていますので、ご希望があれば接種致します。

 

副反応にまつわる状況を考えると、お母様のご意向により、小・中学生のお嬢さんにHPVワクチンを接種させるケースは、今後もあまり増えないと思います。
したがって、20歳以上(できれば18歳以上)の方が、自らが自分の将来を考え、自らワクチン接種を決断して頂く事が、子宮頚がん予防にとって、とても大切であると考えています。
是非HPVワクチンの接種をご検討下さい。